EM菌に含まれる微生物の解析ー実験の概要ー
微生物資材として売られているEM菌は、EM1を主力商品として「乳酸菌、酵⺟、光合成細菌」を主体とした微⽣物で構成されると宣伝されています。
しかし、これまで多くの文献において「光合成細菌が検出されなかった」と報告されてきました。EM菌開発者の比嘉照夫氏は「EM・1やEM・2からは検出されないため海外を含め多くの研究者からEM・1とEM・2には光合成細菌は居ないのではないかという指摘がありました。」とこうした「指摘」がある事を認めています。
EM情報室WEBマガジンエコピュア連載新・夢に生きる 比嘉照夫 名桜大学教授 第103回
比嘉氏は「極めて初歩的な平板希釈法という微生物の検出方法では、光合成細菌が検出されるのは、EM・3のみで、EM・1やEM・2からは検出されない」「EM・1はpHが3.5以下という強い酸性下にあるため、光合成細菌はシスト状態となり、休眠的になっており、施用後に発芽的に再生し、増殖します。この場合、乳酸菌や酵母等は、その作用を著しく増強しますが、糖蜜等で活性化(培養)し太陽に当てると赤くなります。この時点で調べると光合成細菌は多数検出されます。それでも不可であればメタゲノム分析をしてください。」と反論されています。
お望み通り「メタゲノム分析」をやりました。従来の二次培養による分離同定の手法と異なり「存在していれば漏れなく検出される」ので、より信頼性が高い方法です。
実験方法は、糖蜜培地でEM1を光を当てながら培養する「標準的な」EM1活性液を作成し、培養液中の微生物のDNAをまとめて抽出して、微生物の分類に使用されているリボソームRNAをコードする遺伝子DNA領域の一部を増幅したもの(アンプリコン)の配列を次世代シーケンサーで解析して、EM1活性液に含まれる微生物の全種類を調べました。この実験では、EM1を添加しない「糖蜜培地」を実験の対照(ブランク)として比較しました。
EM1に含まれる光合成細菌は「紅⾊⾮硫⻩細菌」だとされています。
紹介した比嘉氏の「太陽に当てると赤くなります」との主張も「紅⾊⾮硫⻩細菌」である事と一致しています。
先に結果を報告すると
※EM1活性液から「紅⾊⾮硫⻩細菌」(光合成細菌)は検出されませんでした。
やはり従来の多くの文献と一致した結果でした。(再現性あり)
まず先に、「実験材料と方法」を示します。
【実験材料】
※EM1は、容器の下に沈んだ微生物があるかもしれないので、よく混ぜて均一にしてから使用しました。
【実験方法】
次の記事で、結果を公表します。
【Part1】細菌叢解析(メタ16SrRNA解析)結果
【Part2】真菌叢解析(メタITS解析)結果
【考察】