EM菌培養液に含まれる微生物の追加解析と考察

【EM1活性液の微生物解析】

 Part1 細菌のメタ16SrRNA解析-増幅領域を変えた追加解析 

(V1-V2領域アンプリコンシーケンス)

 

・試料:EM1活性液(培養液A)、糖蜜培地(培養液B)から抽出したDNA

V3V4領域(細菌)とITS2領域(真菌)の解析に使用したDNA試料を解析業者に送付した。

 

・プライマー配列

V1-V2_F:AGRGTTTGATYMTGGCTCAG

V1-V2_R:TGCTGCCTCCCGTAGGAGT

 

※「R」はA,Gの混合

 「Y」はT,Cの混合

 「M」はA,Cの混合

 

・PCR条件

DNAポリメラーゼ:KAPA HiFi HotStart ReadyMix

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・NGS解析

PhiX:30%添加

(ライブラリーの配列の偏りを緩和するためにPhiXを添加)

シーケンサー:MiSeq(イルミナ社)

 

・解析パイプライン

QIIME2:詳細なパラメータ設定は省略

 

【解析結果】 f:id:warbler:20190210210120p:plain

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・EM1活性液で増えた細菌と減った細菌

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※EM1活性液から検出された細菌の種類も、糖蜜培地(ブランク)から検出された細菌の種類も、V3V4領域を使った解析と比べて種類が少ない

 

 Part2 真菌のメタITS解析-増幅領域を変えた追加解析 

(ITS2領域アンプリコンシーケンス)

 

・試料:EM1活性液(培養液A)、糖蜜培地(培養液B)から抽出したDNA

※V3V4領域(細菌)とITS2領域(真菌)の解析に使用したDNA試料を解析業者に送付した。

・プライマー配列
Fw:CTTGGTCATTTAGAGGAAGTAA
Rv:GCTGCGTTCTTCATCGATGC

・その他、基本的な実験プロトコルは、16S(V1V2領域)と同じ

 

【解析結果】  f:id:warbler:20190210212213p:plain

※EM1活性液と糖蜜培地から検出された真菌はほぼ同じであり、EM1活性液に特有な真菌は検出できなかった。こちらも、ITS2領域の解析の方が情報量が多かった。

 

(補足)

メタ16S解析(V1V2領域)とメタITS解析(ITS1領域)の費用は、依頼した業者から基礎データをとる協力として、特別に無料でやって下さいました。

 

【考察】

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①はA社、②はB社、③はC社に解析依頼をした。(三社は相互に独立した関係)

解析を依頼した順番は、①→②→③

PCR増幅領域」「解析パイプライン」「データベース」の組み合わせは、依頼当時に各社が提供していた解析手法選択の制限により、全ての組み合わせは試していない。

 

※3通りの解析をした結果、 

②の「V3V4領域」→「QIIME2」→「EzBioCloud 16S」を組み合わせた解析が最も情報量が多く精度の高い結果が出された。

 

 

【参考情報】

EM1に入っているとされる2種類の「光合成細菌(紅色非硫黄細菌)」の16S rRNA遺伝子配列とV3V4領域のPCRプライマー配列の一致について(Blast解析)

理論的には、存在していればPCRで増幅されて検出される

 

・プライマー配列

V3-V4_F:CCTACGGGNGGCWGCAG

V3-V4_R:GGACTACHVGGGTWTCTAAT

※「N」はA,C,G,Tの混合、「W」はA,Tの混合、「H」はA,T,Cの混合、「V」はA,C,Gの混合

 

・Rhodopseudomonas Palustris

V3-V4_Fとの比較:NとWにはAが含まれているので「一致」

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V3-V4_Rとの比較:HにはC、WにはAが含まれているので「一致」

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・Rhodobacter Sphaeroides

V3-V4_Fとの比較:NとWにはAが含まれているので「一致」

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V3-V4_Rとの比較:HにはC、WにはAが含まれているので「一致」

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【今後の計画】

・光合成細菌(EM関連業者がEM1に入っているとする「紅色非硫黄細菌」)を入手して、これが存在していれば検出できることを確認するポジティブコントロールを加え、EM1の複数ロットを培養して、それぞれに含まれる微生物を調べる。

・「紅色非硫黄細菌」の存在を調べる別の方法として、バクテリオクロロフィル(光合成色素)の検出などを試みる。