EM菌に含まれる微生物の解析ーまとめ2ー
EM菌(EM1活性液)に含まれる細菌の構成をメタ16S解析(V3V4領域)結果が更新されましたので、「まとめ」も新たな情報を加えて更新します。
(前回のまとめ)
【新たに判明したこと】
※微生物資材EM1に含まれている可能性の高い微生物
1. EM1の主要構成微生物である乳酸菌の種類が1つ判明しました。
Lactobacillus parafarraginis(ラクトバチルス・パラファラギニス)
(補足情報)
EM1に含まれている乳酸菌は、イーエムテックフクダから公表されている情報によると次の2種類とされていますが、
・Lactobacillus Plantarum(ラクトバチリス プランタラム)
・Lactobacillus Casei(ラクトバチルス カゼイ)
実際に検出されたのは上記2種類とは異なるラクトバチルス・パラファラギニスであり、主要乳酸菌に関してもEM側の情報が怪しいことを裏付けています。
※EM1活性液から「紅⾊⾮硫⻩細菌」(光合成細菌)は再解析でも検出されませんでした。
2. EM1活性液で増えたアシネトバクター属の細菌の仲間は、「日和見感染」を起こすことが知られています。(前回のまとめを参照)
前回の解析では、アシネトバクター属の細菌の種類までは分かりませんでしたが、精度を高めた再解析により、その一部がAcinetobacter ursingii(アシネトバクター・ウルシンギイ)であることが分かりました。この菌は血液感染症から比較的高頻度で検出されています。
(参考文献)日本臨床微生物学会誌vol.25 No.3 P25-34 から引用
(再度の注意)
EM菌による「健康法」として、EM培養液(EM活性液)を「非加熱で飲食」する行為、「点眼」や「肺に吸入」したり「膣洗浄」するなどの行為がみられますが、特に易感染者(持病等により免疫系が弱っている方々、高齢者、乳幼児など)は止めておいた方が良いと考えます。
EM1をご家庭で培養する際に、環境中からコンタミしたアシネトバクターが危険性の高いものであれば、それも繁殖する可能性があり、注意が必要です。
日和見感染を起こしにくいタイプのアシネトバクター属の細菌があるからといって、偶然性が大きいコンタミ(培養液への紛れ込み)によって、どのタイプのアシネトバクターが繁殖するかは不確定なEM1培養液(活性液)の安全性が保証されたことにはなりません。
日本の気候は、冬季を除いて「温暖・湿潤」であり、微生物がとても繁殖し易い環境となっています。
一般家庭では、無菌操作できるクリーンルームやクリーンベンチがないので、EM菌を培養する際に環境中の様々な菌がコンタミする可能性は高くなります。ですから、今回の解析結果を踏まえた上での注意喚起は必要だと考えます。(EM菌を貶すために、大げさに書いているのではありません)
※『EM活性液(EM培養液)では「善玉菌」が「悪玉菌」に勝つので、安全である』等という言説は、科学的根拠がありません。