Twitter社の「ルール違反の判断」についての問題提起

前記事「ツイッターでの中傷投稿への法的対応事例-ネット中傷対策」で言及したX氏の別アカウントと思われるX2, X3の投稿内容と、それに対するTwitter社の判断を紹介します。 

warbler.hatenablog.com

※X2と X3のアカウント主がX氏であるという確証はまだありません。

この記事は、Twitter社の「ルール違反の判断」についての問題提起が目的です。

 

【X2の投稿内容】 

私に対して多数の中傷投稿がされましたが、代表的な投稿をいくつかピックアップします。全般に主張の論理がかなり飛躍しており、内容も下品で気味が悪かったので、できるだけ相手にしないようにしていました。

 

2017

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※これらのツイートをTwitter社に通報しました。

通報した文面も記録してありますが、この中で「このアカウントは凍結処分を別に受けており」の部分は脱字があり、「このアカウント主は凍結処分を…」が正しいです。

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※Twitter社から「ルール違反にはあたらない」と判断され、そのまま放置されたので、X2からの中傷投稿が続きました。

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※さらに、追加でTwitter社に通報してみました。

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※これらの投稿でも「Twitterルール違反にはあたらない」とされました。

その後もX2からの中傷が続きましたが、このアカウントは別の理由で凍結され、代わりにX3というアカウントから中傷が再開されました。

 

X3の投稿内容】 

こちらも、代表的な投稿をピックアップします。

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2018年

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※これらをTwitter社に通報しました。

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※しかし、また「ルール違反にはあたらない」と判断されました。
 

その後、X3は別の理由で凍結され、代わりにX4、続いてX1というアカウントから中傷が活発に再開されました。X1からの私への主な中傷は前記事にリンクした訴状に記載した通りです。

 X氏のアカウントX1の投稿1を再掲します。これに対しても、Twitter社は「ルール違反にあたらない」と判断しましたが、この投稿は裁判(民事)で「違法となる名誉毀損」だと認定されました。

 

【投稿1裁判で違法と認定され、X1からの他の4つの投稿と合せて慰謝料200万円の支払いが命じられた。

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【法的な判断】(さいたま地裁での裁判で、以下の原告側の主張がそのまま認められました。なお、東京地裁でTwitter社に発信者情報開示請求をした際にも同じ主張をして「申し立てを相当と認め」られています)

 背景事情

(1) 原告は、2017年7月27日、森友学園や加計学園の政府や安部首相についての疑惑に関して、ツィッターにて、「「疑われた側が潔白を証明すべし」という理屈は絶対に認めるべきではないという論調もありますが、政府や行政機関にはアカウンタビリティー(国民に対する説明責任)が当然求められます。論のすり替えでしょうね。社会に影響力を及ぼす組織で権限を行使する者に対しては、一般人とは異なりますよ。」という投稿を行った(甲5) 。
 これは、あくまで説明責任について述べたもので、証明責任について述べたものではなく、政府や内閣総理大臣といった国のトップについて生じた疑惑であれば、国民に対して説明する責任があると考えて、証明責任と説明責任のレベルを分けて説明したものである。

 

不法行為

権利侵害

(1) 本件投稿1について

ア同定可能性

 本件投稿1は、「片瀬@自称サイエンスライター」としており、また、これ以後の投稿において原告に対するリプライとして投稿されているものが複数存在していることから、一般の閲覧者の普通の注意と読み方(最大決平成30年10月17日)から、原告について述べたものであると理解することができる。

イ社会的評価の低下

 本件投稿1は、「若い頃淫売やって学位取得」「今も研究費着服」「子供に淫売術を教授して実施を強要」「旦那の強姦を親告されないために娘も含めて淫売家業」などとしている。淫売とは、女が男から金を得て肉体を供することであるところ、原告が係る行為の対価として学位を取得したという事実、研究費をかつてまた現在も着服、横頷しているという事実、原告自身の娘に対しても淫売行為を強要しているという事実が、それぞれ摘示されている。

 淫売行為によって学位を取得したということは、本来取得が許されるべきでない成績等であったにもかかわらず、不正な手段により学位を得たという指摘であり、原告の社会的評価を低下させるものである。また、着服、横領は刑法に抵触する違法行為であり、かかる行為が社会的評価を低下させるものであることは多言を要しない。さらに、娘に淫売行為を強要するということは、児童福祉法等に抵触する虐待行為であるといえ、その社会的評価を低下させるものである。

 なお、「疑惑」であるとしているものの、一般の閲覧者の普通の注意と読み方をした場合、火のない所に煙は立たないという考えから当該疑惑が実際にあるのではないかと受け取られることになる。したがって、「疑惑」という記載が存在していることによって、社会的評価の低下が否定されることはあり得ない。

ウ違法性阻却事由の不存在

 原告は、淫売行為をしたことなど一切なく、また、娘に対してそのようなことを教授したことも、強要したことも一切ない。また、研究費の着服もしたことがなく、そもそも原告は、現在、サイエンスライターとして活動しているのであり、研究費を割り当てられるような立場にすらない。

 本件投稿1は、原告について何らの根拠なく一方的に上記事実を摘示するものであり、嫌がらせ目的でなされた投稿であることも明らかである。したがって、違法性阻却事由は存在しない。

 

※違法となる名誉毀損だと認定されるレベルの中傷投稿に対して、Twitter社が「ルール違反にはあたらない」と判断して黙認していたことについて、Twitter社の見解を広報を通じて求めたところ、正式なものとして以下のコメントを頂きました。

Twitterは、プライバシーおよびセキュリティの観点から個別のアカウントに関することはお答えできない方針となっておりますので、何卒ご理解をいただけますようお願い申し上げます。Twitterのミッションは、公共の会話の健全性と安全を守ることであり、私たちはオープンな対話と利用者からのフィードバックを大切にしています。Twitterは、利用者の負担を軽減するために、今後もプロダクトとポリシーに大幅な改善を重ね、課題に取り組む努力を継続してまいります。(Twitter社)

 

 上記Twitter社のコメントは、投稿ルールを定めているのに、違法な投稿に対してそのルールが適用されなかった問題についての言及を避けて当り障りのないものとなっており、不誠実だと感じます。「利用者からのフィードバックを大切にしています」とのことですので、今後も改善に向けてこうした問題提起を続けていく所存です。

 

※「理不尽なことに泣き寝入りしない」というポリシーで今回もやってみましたが、なんとか一石を投じられたのではないかと思っております。