参考資料:EM菌を構成する微生物を調べた過去の文献
過去の文献による「細菌や真菌」の検出方法は、いずれも分離用のプレート培地で生育をチェックする「平板法」と呼ばれる「培養法」による方法でしたが、プレート培地で育てる人為的な培養条件に合わない菌は、もし存在していてもコロニーを形成せずに見落とされてしまうという欠点がありました。そのため、これまで「平板法」によって特定の菌が検出されなくても、「本当は存在するのだ」という可能性を否定し難いという問題がありました。
最近手法が確立されたメタゲノム解析(メタ16Sr RNA解析など)は、従来行われてきた分離用のプレート培地で特定の菌の存在をチェックする「平板法」とは根本的に異なり、存在する菌のDNAをまとめて抽出して解析する「非培養法」なので、「(人為的に増やすことができなくても)存在していれば検出できる」、より信頼性が高い方法です。
今回、この方法によってEM菌(EM1活性液)を調べた結果、EM菌を構成する主体の微生物の1つとされる「光合成細菌」(紅⾊⾮硫⻩細菌)は検出されませんでした。
厳密には追試をして「再現性」を確かめる必要がありますが、「光合成細菌」が存在しないという結果は、多くの専門家による従来の報告と一致していますので、その意味では「再現性」があると言えます。
※参考資料として、過去にEM菌の構成微生物を調べている文献のいくつかの「光合成細菌」に関する部分を抜粋しました。各文献で共通して「光合成細菌」は、検出されていません。
(補足)これらの文献は、いずれも「平板法」を用いています。
『自然農法における微生物資材の利用』1994年
農業および園芸,69,80~83 (1994) 木村友昭・桑村友立・善本知孝
『微生物を利用した農業資材の現状と将来』1996年8月23日 講演資料
日本土壌肥料学会
①EM及びEM資材の有効性を評価するためのタイ国内共同研究, その実用性試験と施用の農業及び環境に与える影響
カセットサート大学研究開発研究所、タイ国農務省農業部
(P10)
②微生物資材に関する試験の現状と評価
丸本卓哉(山口大学)
EMおよびEMボカシの微生物性とEMボカシのホウレンソウに対する効果
1995年7~12月 山口大学農学部
(P28)
『微生物資材の土壌肥料学的評価』1999年
土と微生物(Soil Microorganisms) Vol. 53 No. 2, pp. 91~101 (1999)
後藤逸男(東京農業大学)