岡山大学からの回答書の問題点と指摘1-研究不正の判断手続きについて

岡山大学への質問の経緯は、こちらに書いてあります。

http://warbler.hatenablog.com/entry/2016/03/18/120500

 

このうち、質問1と2は以下の通りです。

 

1 公文書情報公開請求で部分開示して頂いた各調査報告書の内容について

2 公文書情報公開請求で部分開示して頂いた各調査報告書に記載の論文に関して

 

 質問対象の論文の特定は調査報告書上の論文番号を指定し、質問内容については、基本的に私のブログで疑問点として指摘しているものとしました。

 

http://d.hatena.ne.jp/warbler/20150901/1441033645 

http://d.hatena.ne.jp/warbler/20150926/1443240118 

http://d.hatena.ne.jp/warbler/20151030/1446188658 

 

 実は、これらの質問に対して岡山大学側は「調査委員会で既に判断し報告書で出しているので、大学からは新たに回答できない」という返事がくると予想していました。

 

 質問しておいて何ですが、そもそも大学の権限としては調査委員会が判断した事実以外は回答できるはずがないのですが、それなのになぜか回答が来ました。さらに、別の記事としてUPしますが、その回答内容も不可解なものでした。

 

 研究不正の有無について、調査委員会とは別に岡山大学自らが研究不正の判断もするという、文科省で定められた手続きを逸脱した可能性があることが今回明らかになりました。重要なポイントとして、1つでも調査委員会の判断とは異なる回答があれば、他の回答についても調査委員会の判断とは別に大学が判断していると推認できます。

 岡山大では、不正告発した元教授らの解雇の判断も不可解ですし、こうした独断的なことが横行している恐れがあります。

 

 私への回答書には、誰が回答したのか記載されておりません。誰の責任で判断されたものなのか不明なのです。しかし、岡山大学側はこの回答書に対する質問を受け付けないとしています。

 

 そこで残された手段として、調査委員会を開催して判断をする手続きを経て回答をしたのかどうかを確認するため、法人文書の開示請求を行いました。

 定められた手続きに従い、不正調査委員会を開催して不正の有無の判断をしていたのでしたら、文書として記録が残されているはずです。そこで、次の内容で「法人文書開示請求書」を2016年4月11日付で岡山大学に送付しました。(同4月13日に届いた事を確認)

 

私に送付された平成28年3月18日付の回答書において、

 

①平成26年6月11日付「予備調査結果について(報告)」では判断されていなかった論文1図1B上段2パネルに関する疑義に対し、新たに審議して判断した調査委員会に関する一切の文書。


②論文30図6に関し平成28年3月4日付「研究活動に係る不正行為に関する調査報告書」では貼り付け操作を否定した解析業者報告を根拠に判断したのに対し、回答書では「1枚の連続的な写真ではない」と全く異なる判断を下していますが、これを新たに審議し判断をした調査委員会に関する一切の文書。

③ ①と②で求めた調査委員会が開催されてない場合、回答書での判断を行ったメンバーとその手続きに関する一切の文書。

  

※この開示請求によって、(少なくとも)新たな判断をするために調査委員会を開催したかどうかを文書の記録の存在で知ることができると思います。また、調査委員会による判断手続きを経ていなかった場合、③の質問でどの様にして判断されたのかも明らかになると期待します。

 

【追記】2016.6.11

岡山大学からの不開示決定通知書

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各調査委員会が開催されていれば、これまでの事例と同様にその記録が残されていると思われますが、上記①②に関するそうした文書は一切存在せず、さらに「回答書での判断を行ったメンバーとその手続きに関する一切の文書」も存在していないという事で、どの様な手続きを経て新たに判断されたのか不明のままです。

 

一切の記録を残さずに、研究不正の有無という重要な判断をして回答するというのは、不透明さを印象付けて ”公正に研究不正の調査をして判断をしていない” という疑いを強めることになり、さらなる不信を招きます。

 

大学組織としてこうした対応は杜撰であり、このままでは岡山大学の信用に大きく関わる問題となるのではないかと考え、5/30に岡山大学教育研究評議会にこの件に関する調査依頼をしました。

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※この件に関しては、文部科学省研究公正推進室の室長からも岡山大学に対して、私からの問合せに誠実に対応することを求めて下さっておりました。文科省の担当部署がこの件について無視しているのではない事を明かしておきます。

 

しかしながら、6/10に岡山大学から正式に、私に対しては「これ以上返答しない方針」であるとの回答を頂きました。このままでは岡山大学に不信感が募るばかりですので、信頼回復のための機会を用意しましたが、それを自ら放棄されたことはとても残念です。

 

岡山大学がこの件で研究不正告発した2教授を解雇したことに対し、岡山地裁は「解雇無効」の仮処分決定を下しました。解雇理由とされた9件について、いずれも解雇の理由とはならないと判断が出された事からも、強引な解雇をしたのは明白です。

 

※「不正なし」という判断をした岡山大による不正調査についても疑わしい判定が多く、外部調査委員で構成される「外部調査委員会(第三者委員会)」による再調査が必要であると考えます。

 

【補足】

仮処分で無効とされた9件の解雇理由には、マスコミ(フリーライター)への研究不正疑義の情報提供(告発)が含まれています。

岡山大学で不正告発をした教授らの解雇無効申立仮処分決定について - warbler’s diary