岡山大学からの回答書の問題点と指摘3-質問3から9に関して
岡山大学からの回答書の問題点と指摘1-研究不正の判断手続きについて - warbler’s diary
岡山大学からの回答書の問題点と指摘2-各調査報告書に関して - warbler’s diary
に続く、岡山大学からの回答書に対する意見の続きです。
質問3から9に対する回答についてです。
3 毎日新聞に掲載された大学側のコメントに関して
岡山大学の回答書
毎日新聞記事に掲載された“大学によると、病院幹部から「1枚の連続的な写真ではない。代表的なバンドの写真を参考として添付した」と説明があった”とのコメントについて、正しく伝えていると認めました。
従って、論文30に関する報告書の検証にこの証言を用いました。
4 研究活動調査委員会が依頼した画像解析業者に関して
岡山大学の回答書
(問題点)
・専門委員からの紹介のみで、技術力を裏付ける資料などの確認をせずに解析業者を選定したのでしょうか。関係者の研究者としての信用にも関わる不正調査を委託するのであるから、業者の技術力を確認することは重要なはずです。
事実、その解析業者は簡単な画像処理で分かるレベルの切り貼り画像を見抜けていなかったことから、高度な専門技術を有しているとは言い難く、安易な選定をした可能性が否定できません。また、関係者と解析業者の間に何らかの利害関係があり、論文1での不適切な画像差し替えや論文30での不可解な判断が行われた疑念もぬぐえません。
5 各調査委員会の開催回数が、一般的な事例よりも少ない事について
岡山大学の回答書
(問題点)
・調査分析が杜撰であった事は、論文30の「写真の切り貼り判定」によく表れています。相当の時間をかけたのに、この程度の調査レベルというのは俄かに信じがたいです。
6 再調査の必要性に関して
岡山大学の回答書
(問題点)
・画像流用の疑義に対して調査の基本である生データの確認をしていないなど、必要な調査がされておらず、また論文1のケースでは不適切な画像の差し替えがあったり、論文著者側から「画像貼り合わせ」の証言を得ていたのに、「画像貼り合わせはない」とする解析業者の報告に基づいて不正の有無が判断されていたりと、恣意的な判断が何か所も見受けられ、公正さに大いに疑問があります。
さらに、被告発側には大学理事らが多数含まれており、そうした背景からも公正な調査が行われたのかについても疑念があります。
※やはり、外部の第三者のみで構成される外部調査委員会で公正に再調査されることが必要だと思われます。そうしなければ、いつまでも疑惑が解消せず、関係者も疑われ続けてしまう事になります。
7 公文書公開請求の手続きの途中で、部分開示の内容変更についてご検討をされていましたが、その中でREICの文字を黒塗り変更しようとされた理由について
岡山大学の回答書
(問題点)
・REICの他の遺伝子名や物質名も、それぞれ特定研究員の研究キーワードになっており、REICだけを特別に扱う根拠に欠けます。いずれにせよ、不開示にするのは難しいのではないでしょうか。
8 博士論文に関する不正調査への対応状況に関して
岡山大学の回答書
・博士論文に関する不正調査は、2012年1月に発覚したが、既に4年以上が経過しています。結論が出されないまま長期化しており、できるだけ早く結論を出すことが望まれます。
9 告発者に対する処分について
岡山大学の回答書
(問題点)
・マスコミに不正疑義を通報した事が解雇理由に含まれていることが、当事者である記者により公表されています。
マスコミへの通報は、不正告発の手段の1つです。よって、告発を理由としたものと見なすことができます。研究倫理・道徳として、研究者には研究活動の不正行為およびその疑義に気付いた場合は、公益通報義務があります。告発者らがマスコミの記者に論文の不正疑義について情報提供したのは、所属機関内で隠蔽される懸念があったことが理由であり、手段として正当化されると思います。その懸念の裏付けとして、実施された不正調査では不正隠蔽をした疑念のある判定がいくつもなされています。
現代ビジネス『これは言論封殺だ!不正告発教授のクビを切った岡山大学の愚挙』
伊藤博敏(2016年01月14日)
(参考)大学研究と公益通報
http://tousyoku.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/a969ca91549ae7721629d6f256ce5c27.pdf
(参考)告発当時適用された「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」(平成18年度版)
2 告発等の取扱い
(参考)「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日決定版)
3-3 告発者・被告発者の取扱い