批判の難しさと、ネット中傷問題
8/1に、市民社会フォーラム学習会で李信恵さんとネット中傷問題について対談させて頂きました。
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29946
この対談の中で、説明に使った図を2つ紹介します。
※言説に対する批判が、人格攻撃と受け止められ易い
できるだけ批判に罵倒や相手を愚弄する言葉を混ぜないなど、
人格攻撃だと思われない様にする配慮が必要です。
それでも、「価値観」「思想信条」を傷つけられた→「人格攻撃」を受けたと捉えられがちであり、悩ましいところです。
こうした行き違いにより、反撃として「人格攻撃」が始まるというのは、よく見かける風景です。
次に、ネット中傷でよくある構図です。
相手を悪者として攻撃するのに、本来のその人の人格とは別の人格(多くは、極端な発言ばかりしている様に誇張されたり、薄っぺらく単純化されたもの)に上塗りされて伝えられます。
「藁人形論法」の一種と考えても良いかもしれません。
攻撃しやすい理由をこじつけ、連鎖的な攻撃が扇動されます。
例として、「在日コリアンの人達は不当な特権を持ち、日本人に対してずるい」という主張がなされていますが、そうした主張はどれも根拠に欠ける被害妄想です。
日本人であっても「在日」認定されることで、攻撃ターゲットになります。
「犯罪者」であるというレッテル貼りもしばしば見られます。
スマイリーキクチさんがネット中傷を受けたのもこのパターンで、「殺人者」認定されることで執拗な誹謗中傷がされました。
スマイリーキクチさんは、犯人だとされた事件とは全く無関係です。
ある犯罪が報道されると、ネットで犯人捜しが始まり、曖昧な根拠で「こいつが犯人」だとして名前が出されてネット私刑の被害にあうケースが現在でも頻繁にあります。
また、東電の原発事故では、科学的な見解を巡り、「対立する意見」を持つ学者を市民の敵である「御用学者」というレッテル貼りをすることで攻撃が盛んに行われました。
ネットなどで見境なく「御用学者」認定が行われ、反原発活動を長年続けてきた学者に対してさえも、原発推進に組する「御用学者」だとして攻撃する人達まで現れました。
原子力産業との関係が見つからない人たちにはエアギターをもじった「エア御用」という言葉まで作られて攻撃の理由に使われたのは、とても象徴的でした。
これも、同様な構図に当てはめてみることができます。
これらは一部の例であり、もっと掘り下げて考えていく必要があると思いますが、
こうした構図(パターン)が問題把握に役立つケースも多そうです。