EM研究機構との交渉

EM研究機構から弁護士を介して過去の私の投稿に関する削除訂正と謝罪を求める通知が送付され、もし私の対応が不十分であれば法的対処をすると予告されましたので、それに対応すると共に、2018年12月7日に、私からも弁護士を介してEM研究機構に削除訂正要望を出しました。以下に私から出した要望の概要を示します。

 

「株式会社EM研究機構のホームページには、以下のとおり誤った情報があり、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがありますので、削除及び訂正を求めます」

・第1に、EM研究機構のHPに掲載されている「他分野への応用」には、「養殖・水質浄化分野では、水系の生態系を豊かにすることで、自浄作用が高まり、水質が改善されます。」と記載されておりますが、環境省の見解どおり、水質浄化に科学的効果があるとは認められておりません。

・第2に、EM研究機構のHPのQ&Aに「EM・1には、乳酸菌、酵母、光合成細菌を主体とした安全で有用な微生物が共生しております。」と記載されておりますが、EM菌を調べた過去の多数の文献でも光合成細菌が検出されていないほか、こちらで実施したメタ16SrRNA解析でも、主体とされる光合成細菌は検出されませんでした。

 

そして、資料として今回の「メタゲノム解析」結果を提示し、EM商品の販売店であるイーエムテックフクダがHPで公表しているEM に入っているとされる微生物について、次の見解を伝えました。

 

※イーエムテックフクダが公表しているEM に入っているとされる微生物のうち、以下のものはEM1 に含まれていないと考えられる。

(イーエムテックフクダのHP)
emtec-fukuda.com


【光合成細菌】
Rhodopseudomonas Palustris ロドシュードモナス・パルストリス
Rhodobacter Sphaeroides ロドバクター・スファロイデス


(補足)
EM1 活性液に存在するクロロビウム門OPB56 網の「緑色硫黄細菌」は糖蜜培地中にも存在するので、EM1 由来ではないと考えられる。
また、仮にEM1 由来だとしても存在比率が0.17%しかなく、「主体」として含まれているとは言えない。
(株)EM 生活のHP では「“光合成細菌ってどんな菌︖”の巻」という項目で「EM を構成する光合成細菌は「紅⾊⾮硫⻩細菌」に分類されます。」と解説されているが、他の「紅⾊⾮硫⻩細菌」も検出されなかった。


【放線菌】
Streptomyces Albus ストレプトマイセス・アルバス
Streptomyces Griseus ストレプトマイセス・グレセウス


(補足)
EM1 活性液にはStreptomyces 属の放線菌は検出されなかった。
また、EM1 活性液に存在するコリネバクテリウム属の「放線菌」は糖蜜培地中にも存在するので、EM1 由来ではないと考えられる。
仮にEM1 由来だとしてもストレプトマイセス属の様に抗生物質を産生するタイプとは異なっており、さらにコリネバクテリウム属には外毒素を産生して動物やヒトに対する病原性を持つものが含まれるので、単純に善玉菌とは言い難い。

 

【酵⺟】
Saccharomyces Cerevisiae サッカロマイセス・セレヴィシエ


(補足)
EM1 活性液に存在するSaccharomyces 属の「酵⺟」は糖蜜培地中にも存在しており、EM1 活性液の方が存在率が低いことから、EM1 由来ではないと考えられる。
また、仮にEM1 由来だとしても存在比率が0.16%しかなく、「主体」として含まれているとは言えない。


【⽷状菌】
Aspergillus Oryzae アスペルギルス・オリゼー
Mucor Hiemalis ムコール・ヒエマリス
(補足)
EM1 活性液に存在するAspergillus 属の「⽷状菌」は糖蜜培地中にも存在しており、EM1 活性液の方が存在率が低い上に、存在比率が0.0006%しかない。
したがってEM1 由来ではないと考えられる。
Mucor(ケカビ)属の「⽷状菌」はEM1 活性液から検出されなかった。

 

※EM研究機構の回答

こちらの要望に対するEM研究機構の回答が2018年12月18日に送られてきましたが、

「いずれも削除訂正の合理的理由がないものであり、要望には応じられません」(要約)というものでした。