読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「沖館川では今もEM投入が行われているのか?」についての検証

OSATO氏のブログ記事
・沖館川では今もEM投入が行われているのか?(2015年12月1日)
http://blog.goo.ne.jp/osato512/e/970e129eed6596e6f677b240afd864a0
の内容を私の方で検証させて頂きました。


1. 「沖館川をきれいにする会」について
「沖館川をきれいにする会」の三戸孝二事務局長に、この記事に掲載されているメールの内容に間違いはないか問い合わせをしました。
三戸氏より、「ブログに記載されている記事については、当方でOSATOさんの質問に答える形で回答した内容に相違ありません。」との回答を頂きました。

従って、

(2015年11月21日受信)
 実情は、土手が整備されてから(当然、平成15年以前です)この地点は西滝川と沖館川の合流直下に位置していること、その形状から土砂が堆積しやすい場所で、大雨で土砂が流されては堆積するといった状況が繰り返されている場所である。
ヘドロが・・・についても、ヘドロといえる程のものではなく、上流側と同様の土砂の堆積状態程度のもので、河川水も普段は少なく流れも遅いので、同様の河川に見られる程度のものです。
それなりに汚れた海水が入り込む汽水域なので、清流に見られるような川底が砂と云った事は、どだい無理な話だと認識しています。」
 当然、現在も状況は平成15年以前とさほど変わってはおらず、記事は書いた人の主観によるものと判断しております。

という見解も含めて、OSATO氏のブログには三戸氏のご意見が正しく掲載されたものだと確認できました。


2. 沖舘川にEM活性液やEM団子の投入が実施されている状況について
青森県東青地域県民局地域整備部河川砂防施設課の課長さんに取材したところ、「今現在は、うちの方では確認はしていません」「(沖舘川のヘドロを調査して報告書にまとめた)当時はやっておりました」との回答を頂きました。


3.「沖舘川のヘドロ調査」の報告書について

(OSATO氏のブログより)

OSATO氏の記事でこうした疑問点が指摘されている「沖舘川のヘドロ調査」の報告書の内容を確かめるため、正式に青森県から当該報告書を入手しました。

この報告書は「平成16年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」である事が、2012/08/01付けのDNDメルマガに記載されています。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm120801.html

(黄色のマーカーは私の方で入れました)

そこで、青森県に「行政文書の開示請求」を行い、この報告書を入手しました。
担当者の個人名等を除き、ほぼ全開示して頂けました。
(注:リンクした報告書のPDFは、PCからではないと全ページ閲覧できない場合があります)

「平成16年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」(PDFリンク)
途中省いたP13〜P17、P21〜P25、P29〜P33は、巻末の添付資料1の生データをグラフにしたものです。
(サイズがB4なので、こちらでA4に変換するのが面倒で省きました。すみません)

平成16年度報告書 巻末添付資料(PDFリンク)

青森県東青地域県民局地域整備部河川砂防施設課(担当部署)に確認したところ、
この16年度報告書が最終報告書になります。

(調査の目的)

この報告書の期間は「平成16年5月から平成16年9月」までの約半年間です。
担当部署の課長さんの説明によると、この調査期間中での沖舘川への有用微生物(EM)の投入は、EM活性液の他にEM団子の形でも投入されていたそうです。総投入量や投入頻度については、学校を含むいくつかの団体が支流も含めてバラバラに行っていた事、10年前の調査でもあるので、当時の状況は正確には把握していないとのことでした。

2014/07/18付けのDNDメルマガによると、毎月2トンものEM活性液を投入したとされています。これが正しいとするとかなり大量です。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm140718.html

(黄色のマーカーは私の方で入れました)

(注:私が入手した最終報告書にはEMの投入量は書かれていませんでした)

また、「半年ごとに1冊の計2冊の相当なボリュームだ」という記述から、出口氏は「平成15年度」(中間報告)「平成16年度」(最終報告)の2冊とも入手している事が分かります。
※「平成15年度」の報告書は、追加で青森県に開示請求をしましたので、近日中に入手できる予定です。


(追記)ここから、「さて、本題に入ります」の前までは2016年2月8日以降に書き足した部分です。

「平成15年度」の中間報告書を入手しました。
「平成15年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」(PDFリンク)
途中省いたP16〜P22、P26〜P32、P36〜P42は、巻末の調査結果表の生データをグラフにしたものです。
平成15年度報告書 巻末添付資料(PDFリンク)

中間報告書の記載により、EM活性液の投入量が確認できました。

f:id:warbler:20160209021908p:plain

EM活性液投入地点の上流側にある「No.3 西滝橋調査地点」は、EM活性液投入の影響を下流域よりも受け難いので、他の2つの調査地点の対照として設定されたと考えられます。

◇沖舘川のこの領域は感潮域となっており、満潮時に海水が上流に向かう現象が生じます。この時に逆流してきた海水中に投入されたEMが混ざっていると上流側にも到達する可能性があります。(塩分濃度の高い海水中でEMに含まれる微生物がどれだけ生存しているかは不明です)

補足:「西滝橋」付近も流速や水位が潮の干満の影響を受けて変動しますので、投入したEMが逆流してくることも考えられますが下流の2地点よりもEM濃度が高くなることはないでしょう。
3つの調査地点間での比較において、EM投入の影響が少ない対照地点と見なして問題はないと考えられます。

f:id:warbler:20160208235610p:plain

※ここで、出口氏の2012年8月1日付のDNDメルマガ記事を見てみましょう。
[DNDメルマガ]vol.469 朝日のEM批判記事検証:青森からの現地報告
f:id:warbler:20160209021607p:plain
(黄色のマーカーは、私の方で入れました)
DNDメルマガ記事では、「EMが投入されている沖舘川の沖舘橋、青森工業高校裏、西滝橋の3地点」としていますが、西滝橋はEM投入地点より上流なので、この場所では下流域よりもEMの効果が少なくなるでしょう。

報告書のデータを紹介して「もっともヘドロの減少が著しいのが西滝橋付近だった」としていますが、EM投入地点より下流域の方がヘドロ減少量が少ないというのは、即ちEM投入の効果が見られないと言っているのと同然です。

2015年11月11日付のDNDメルマガ記事を見てみましょう。
[DNDメルマガ]vol.510 検証 報道被害・朝日新聞とツイッター 第8回 EM批判は 由々しき「沖縄差別」
f:id:warbler:20160209014859p:plain
(黄色のマーカーは、私の方で入れました)
EM投入地点より上流側に位置している「西滝橋の右岸では、ヘドロがすっかり消えて」いるのでしたら、EM菌が投入されていなくてもヘドロが消えたかもしれませんね。「沖舘川をきれいにする会」では2013(平成25)年から会の活動としてEM菌投入を中止しています。また、沖舘川へのEM菌の投入は個人活動も含めて現在確認されていません。

追記1: ここでEM菌の投入とヘドロ量を短絡的に結び付けるのは、実はトリッキーです。最終報告書のまとめにある通りヘドロ量の変動要因は複数考えられ、「すっかり消えた」のは一時的である可能性があります。総合的に「EM投入とは関係ない」と見なすのが、最も合理的でしょう。

追記2: 干潮時には川幅が狭くなって流れが速くなりヘドロが流出しやすくなる事が報告書に書かれています。「ヘドロが消え、砂地が広がってきた」とDNDメルマガの冒頭で述べていますが、砂地が広がってきたと見えたのが、この干潮時の流量の変化によるものであれば、ヘドロ消失の一因として説明できそうです。

追記3: 一応場所の確認をしておこうと、2015年11月11日付DNDメルマガで「西滝橋」としている次の写真(比較しやすいようにトリミングしました)と報告書の「西滝橋」を照合すると風景が異なるのに気が付きました。
f:id:warbler:20160211032216p:plain
あれっ?もしや…と思い、EM投入地点の「相野橋」をGoogle Mapで確認↓したら、見事に建物などの風景が一致。
f:id:warbler:20160211032102p:plain

報告書に記載されている「西滝橋」の写真はこちら
f:id:warbler:20160211023526p:plain
念の為、Google Mapで「西滝橋」を確認↓するとちゃんと一致。
f:id:warbler:20160211032602p:plain

※という事で、2015年11月11日付のDNDメルマガ記事で「西滝橋」としていたのは実は「相野橋」の間違いである事が判明しました。

よって、当該DNDメルマガ記事の報告では「西滝橋」ではなく、EM投入地点の「相野橋」でヘドロが消えたという事になります。従って、実質的にEM投入されていない地点でEMの効果が出たとしていたのではありませんでした。

(しかし、場所を間違えるなんて、現地にわざわざ行ったのに、何やっているんですか? 意地悪せずに検証結果をこうやって報告しますが、私が気付いて良かったですね)

追記4: 2015年11月11日付のDNDメルマガ記事で「西滝橋」としていたのは実は「相野橋」であった事が判明しましたが、この地点ではヘドロ調査はされていなかったので、報告書のデータと比較する事は不可能です。
また、出口氏がいつから調査地点を間違えていたのか不明なため、少なくともDNDメルマガ記事の沖舘川に関する現地報告は信用できません。

追記5: 当該メルマガ記事の写真の説明が、「西滝橋」から「相野橋」に訂正されているのを確認しました。(2016年2月19日)
訂正前のDNDメルマガ記事を記録してあるので、証拠として残しておきます。↓
id:warbler の [DNDメルマガ]vol.510「検証 朝日新聞とツイッター」第8回.pdf
[写真とその説明部分]
f:id:warbler:20160219153753p:plain

場所を訂正した事については、当該DNDメルマガ記事の最後に、
【訂正】写真のキャプション等に「ヘドロが消え、砂地が広がってきた沖館川の西滝橋右岸」とあるのは正しくは相野橋右岸でした。訂正いたします。 2016年2月19日編集長
と記載されていました。すぐに訂正に気付きにくい場所なので、できれば写真のキャプション部分に訂正コメントを入れた方が望ましいと思います。


さて、本題に戻ります。

出口氏は、2014/07/18付けのDNDメルマガ「EM投入でヘドロが減少した!」と書き、さらに、2015/11/11 付けのDNDメルマガでは「効果を実証した沖館川のヘドロ現地調査」として、報告書の一部の写真をUPしています。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm151111.php

私が入手した、最終報告書の該当部分はどうでしょうか?

・DNDメルマガの報告書写真
「各調査地点のヘドロ層厚は各調査回次で変動するものの減少傾向を示していた」

・私が入手した最終報告書
「各調査地点のヘドロ層厚は本年度の調査を開始した5月には3地点とも3月に比べるとヘドロ層厚の増加が見られた」

さて、これは一体どういう事でしょうか?
青森県東青地域県民局地域整備部に問い合わせた結果、出口氏は最終報告書ではなく中間報告書の方の写真を出した事が判明しました。

追記: 後から入手した中間報告書と照合して確認しました。

※出口氏は、EMに効果があるかのような中間報告の部分を選んでUPしていたのです。
それでは、EM投入によってヘドロが減ったという結果は、この調査で得られたのでしょうか?
最終報告書の「結果」と「考察」を見てみましょう。

(結果)
EM活性液投入地点より下流

EM活性液投入地点より下流

EM活性液投入地点より上流

(要因の考察-最終報告書)

(上記考察から抜粋)
「本調査での1年間のヘドロ層厚の変動は、生物の活性が低くなる低温期に向かって減少し活性が高くなる高温期に向かって増加していることからいわゆる生物活動によるヘドロ分解による底泥中のヘドロの減少というものではないと考えられる」

この「生物活動」に関して、担当部署である河川砂防施設課の課長さんに確認をしたところ、「EM菌を含む生物の活動」と解釈して良いとの回答でした。よって、

青森県による調査報告書での最終判断は、「ヘドロの減少は、EM菌を含む生物活動によるヘドロ分解の効果ではないと考えられる」というものでした。

2015年11月11日付DNDメルマガでは、中間報告書の都合のよい部分だけを取り出して、あたかもEM菌にヘドロを減らす効果がある様に書いていますが、それは「最終報告書の結論」とは全く違っている事が判明しました。

以上、OSATO氏の記事の検証を致しました。
新しい情報が入手できましたら、追記していきます。

・補足
青森県に追加で「平成15年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」の開示請求をした他に、この調査を開始した経緯と調査継続を止めた経緯についても行政の判断として参考になるため、関連する会議事録の開示請求もしました。

(追記)会議事録が開示されましたので、リンクします。(2016年2月26)

[打合わせ協議記録簿]
平成15年 PDFファイル

平成16年2月26日の最終協議記録
f:id:warbler:20160226153609p:plain

平成16年 PDFファイル

平成16年9月30日の最終協議記録
f:id:warbler:20160226153915p:plain

打合わせ協議記録には、中間報告書を作成した段階では「EM菌投入との因果関係については、現段階では明確にできない」と記載されていました。
最終報告書をまとめた段階では、協議の結果、「いわゆる生物活動によるヘドロ分解による底泥中のヘドロの減少というものではないと考えられる」という見解に落ち着いた事が分かります。