研究内容の紹介
本名等を明かしたついでに、私の研究内容を「こんな事をやってました~」ということで紹介します。
「シロイヌナズナ AtCYCA2;3 の機能解析」
・過去の発表スライド等ですので一般向けではありません。
・10年以上前の内容ですので最新知識は取り込まれておりません。
私自身でこの研究テーマを決め、実験の計画と実施もほぼ自力で好き放題にやりましたが(京大の伝統「放牧方針」によるw)、随時適切な助言と技術指導を指導教官や他の方々にして頂きました(優秀な羊飼いたちのお世話になりました)。
まず、内容説明として論文の要旨から紹介します。
(序論部分は省きますが、かなりマニアックな内容になっています。研究者は、いわば究極のオタクですよね…)
※「材料と方法」(通称: マテメソ)もリンクしておきます。
以下は、D論公聴会や学会で研究内容を発表した時のスライド画像です。
(補足説明)動物の細胞は、染色体の倍数性(Ploidy)は基本的に体細胞で2C、生殖細胞で1Cです。あまり知られていないのですが、植物の場合は根・葉・茎などのあらゆる組織の体細胞で倍数性が増える現象がみられます。動物の場合、こうした体細胞での倍数性の上昇は昆虫類でよくみられており、哺乳類では胎盤などの特殊な組織で倍数性が増える現象がみられます。細胞増殖の調節機構が乱れた「がん細胞」でも、倍数性の上昇がよく観察されます。
(補足説明)null変異体とは、遺伝子が欠損していてその遺伝子が発現されない変異体のことです。
(補足説明)loss of functionとは、機能欠損による表現型(現れる特徴)です。
(補足説明)mRNA量は、その遺伝子産物(タンパク質)がどれだけ作られているのかという指標になります。「day after sowing」は、種まき後の日数です。
CycA2;3欠損株AtCYCA2;3(-/-)に、この遺伝子のプロモーターに繋げたCycA2;3-GFP(GFP融合タンパク質)の遺伝子を導入
(参考)CyclinA2;3の過剰発現による、植物体全体と根の成長への影響
CyclinA2;3が過剰発現すると、細胞増殖が妨げられて全体に縮こまった姿になります。
※各種解析や観察も全て私自身が行いましたが、次にお名前を挙げたのは、当時の最新鋭装置を使わせて下さったり、私に高度な実験技術の伝授(コツや注意事項など)をして下さった方々です。(注: 所属は2006年当時のもの)
彼らには足を向けて寝られませんw
(おまけ)
青く染まっている部分が、シロイヌナズナでCyclinA2;3が発現している細胞です。
気孔の孔辺細胞で強く発現している(左下の写真)のは、endoreduplicationを起こして細胞が肥大しないように防いでいる可能性があります。(孔辺細胞が肥大すると気孔の開閉に支障をきたします)