広島県「EM菌による水質浄化実証試験結果報告書」
広島県に公文書(行政文書)の情報開示請求をして、EM菌による水質浄化効果を調べた報告書を入手しました。
『EM菌による水質浄化実証試験結果報告書 平成15年5月 広島県保健環境センター』(写真資料も含めて全52ページ)
これを全てブログに掲載するのは量が多いので、PDFファイルをリンクします。
id:warbler の EM菌による水質浄化実証試験結果報告書.pdf
この報告書を読めば分かりますが、かなり丁寧に試験をしています。これだけきちんと調べて効果を確認できなかったのですから、広島県がEM菌を水質浄化をする目的で使用することを推奨しないという判断をしたのは合理的です。
この報告書の概要をまとめた資料も入手しましたので、以下に掲載します。
(資料中にある赤線や赤文字は、片瀬が入れました)
※淡水である湖水にEM菌活性液(EM培養液)を1/100添加した実験系では、EM培養液のpHが酸性なので、その影響でpHが4.8にまで低下し、アオコの原因種であるアナベナが死滅しました。これは、EM推進側が宣伝している「小さな池などにEM菌培養液を大量に投入するとアオコが消える」現象の一部を科学的に説明できるものです。
pH低下が、アオコが消えて水が透明になる主原因であれば、EM菌の働きとは言えません。
(参考)片瀬の講演会資料より
広島県の実証試験結果の総評
この結果に基づいて、広島県は水質浄化活動に「EM菌の使用を推奨しない」という決定をしました。
広島県は平成15年9月2日に、新聞社の取材に対して、次の説明をしています。
特に、最後の説明に関しては、私もいくつかの自治体から長期的な水質データを入手してEM菌の効果を検証していますが、得られた結果からはEM菌の効果は確認できず、代わりに水質改善には下水道整備が最も効果的であることが確認できています。
(参考)
※EM菌の万能性を信じることによって下水道整備や他の有効な対策を進める障害となれば、環境改善の足枷ともなります。
EM菌投入が水質汚染源となり得るという問題の他に、環境活動をする人達の行動を効果的な対策から遠ざけるという「意識向上」とは逆の効果をもたらすことで、本末転倒となってしまいます。