関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する意識調査
1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災では、混乱に乗じたデマによって朝鮮人が虐殺されたという事件がありました。
これに関しては内閣府の資料が出典が明確で良く纏められているので紹介しておきます。
報告書(1923 関東大震災第2編) : 防災情報のページ - 内閣府
「第4章 混乱による被害の拡大」の部分です。
小池東京都知事が、朝鮮人犠牲者数の根拠が希薄であるとして「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」に追悼文を出すのを断った事に関連して、私は8/26に次のツイートを連投しました。
「虐殺が行われた事実がある」ことよりも「虐殺された人数」の方が大事だと主張してくる人達がいるけど、虐殺という残虐行為はどうでもいいんでしょうかね。。。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
「虐殺された人数」は、混乱していた当時と比べて資料が集められることによって後に修正されていくことがあるけれども、「人数の修正」によって「虐殺」そのものは否定されないんですよ。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
これらのツイートに対して反発する人達からの意見が色々と来ましたので、それらに対して以下のツイートを連投しました。
「『虐殺』は人数もさることながらその意図も重要」とのご意見がきましたが、虐殺者の意図によって容認される虐殺があるとするのは、とても怖い考え方。虐殺は正当防衛とは全く違います。この件で取り上げられている関東大震災時の民族差別による虐殺は、デマに起因するものであり正当化は難しいです。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
『虐殺』される側の身になって考えられないのであろうか…。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
無実なのにデマを信じた人達から集団でなぶり殺されたんですよ。そんな恐ろしい事ってないでしょう。
「日本人も虐殺されている」と反論してきた人もいるけど、虐殺は誰がやってもダメであって、日本人も別件で虐殺されているからと帳消しにはなりません。関東大震災時の話に戻ると、朝鮮人だけではなく、朝鮮人と間違われた日本人も虐殺されているんですよ。無茶苦茶だったんです。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
「日本人は過去に虐殺なんてした事のない高潔な民族である」と思いたい人達も少なくない様ですが、歴史ときちんと向き合い、過ちを繰り返さない様に教訓とするとができない人達が、また平然と同じ過ちを繰り返すことになるんです。そもそも過去と向き合えないのは高潔とは言えないのでは…。
— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2017年8月26日
この一連のツイートの中で、特に最後のツイートがあっと言う間に1000以上RTされて広まりました。その結果、これを読んだ人達から大量のリプが殺到しました。
大漁です!(笑)
折角なので、朝鮮人虐殺事件に対する「意識調査」としてリプの内容を整理してみました。集計すると最後のツイート(以下「元ツイート」とします)に対するリプが520件ありました。(直接返信するのではない「引用リプ」も含めています)
まず、元ツイートに対する反響の時間的推移を見てみます。
各リプの「インパクト指標」として、各リプの基準を1として、それに「RT」と「いいね」の数を足し合わせた数値を用いました。
元ツイート(●)を投稿した時点から7日間の様子です。
※分布状況が分かり易いように、縦軸は対数目盛にしました。
こんな感じで、ツイーター上での反応が推移していきました。
520件のリプの内容を次の15項目に分類しました。各項目は()内も含みます。
・他国の方が酷い(日本は優れている)
・賠償金目当ての被害者ビジネス(日本人こそ被害を受けた・被害を誇張されている)
・虐殺は疑問or捏造である(間違った歴史から反省できない、偏向教育から覚醒すべき)
・謝り続けろとか無理(もう済んだ過去の話を蒸し返すな、反省を押し付けるな)
・昔の事はどうでもいい(現代の感覚で当時を裁けない、現代では虐殺は起きないから大丈夫)
・自虐史観を植え付けるな(自信を取り戻せ、日本人に対する侮辱である)
・歴史から学ぶことは力こそ正義(人は虐殺するもの)
・他民族へのヘイトスピーチ
・日本を支えた貢献者を敬え(天皇陛下の臣民は高潔であった)
・悪い朝鮮人を成敗しただけ(虐殺事件に仕立てたのはマスコミの陰謀、偶発的なもので虐殺ではない)
・お前は朝鮮人or工作員だろ
・何の事か分からない(←連続ツイートの中の1つだと気づかなかった人達)
・片瀬久美子に対する愚弄or罵倒
・無関係な話題(クソリプ)
・元ツイートに肯定的
各項目へは、個々リプの主要な主張によって分類しました。
投稿数順に次の結果となりました。
元ツイートに肯定的なのは全体の7%で、ほとんどが元ツイートに反発する内容でした。いわゆる「クソリプ」もかなりありました。
次に、先の「インパクト指標」(各リプの「RT」数+「いいね」数+1)を用いて反響の強さによる評価をしてみました。
順位が大きく変わり、朝鮮人虐殺に言及することは「賠償金目当ての被害者ビジネス」に加担することになり、「自虐史観を植え付ける」ことになるという主張に多くの共感が集まっている事が分かりました。
「虐殺は疑問or捏造である」は投稿数は比較的多いのですが、共感される強さでは先の2つに劣ります。これは、なかなか興味深い結果でした。
【分析結果】
それを認めると自分達が損をするという観点の主張が、より多くの人に同調・共感され易い。
主張の内容が共感され易い背景として、投稿者のフォロワー数との関係も調べてみました。
(※フォロワー数の多さは、その人が普段から共感の得られ易いツイートを多くしている結果とも考えられます)
反響の強さの順で比べてみます。
共感が多く得られた「賠償金目当ての被害者ビジネス」「自虐史観を植え付ける」という内容の投稿をした人達には、フォロワー数が多い人達の割合が高くなっています。
それに対して「虐殺は疑問or捏造である」は、「無関係な話題」としたクソリプに比べても、フォロワー数の少ない人達の割合が高くなっています。
※これもなかなか興味深い発見でした。