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ホメオパシー・レメディには薬効が無いってホント?

ニセ科学 ホメオパシー

薬効のある「薬」は、体に働きかけて病気の症状を緩和したり病気の原因を取り除いたりします。「薬」は、体の代謝や細胞の仕組みに関わる生化学的な反応に影響を与えることで効果を出しますが、この生化学的な反応過程はとても複雑に絡み合っていて、ある1つの生化学的な経路への効果は他の経路にも影響していきます。その為、薬効のある「薬」には副作用が避けられません。「薬」を投与する量やタイミングを誤ると、重い副作用が現れて逆に体の具合が悪くなってしまいます。

なので、薬効が認められた薬は、効果が大きく副作用ができるだけ少なくなる様に、きちんとその量や回数、いつ投与するか、対象となる症状や病気、患者のタイプなどが定められています。また、作用が強い (裏を返すと副作用もその分強い) 薬は専門知識のある医師でないと処方できません。

医師が薬を処方する時の決め手は効果>>>副作用となるかどうかで、医者は患者にその薬を投与しながらその効き目と副作用の程度を確認しつつ、必要に応じて投与の方法を変えたり、薬の種類を変えたりして最適な方法を探りながら治療が行われます。

臨床試験にパスして認可された薬でも、実際の患者への副作用の報告が医療現場から集められて、強い副作用が認められて患者への投与に注意を要する場合は使用法の警告が出されたり、深刻な副作用が発覚した場合は認可が取り消されたりします。
また、薬の薬効についても認可された後でも確認が行われており、効果が無いと判明して自主回収された例もあます。
・消炎酵素製剤「ダーゼン®」の自主回収の例
http://www.takeda.co.jp/press/article_41340.html

さてここから本題です。
ホメオパシー・レメディには薬効が無いことは、既にメタ解析で明らかにされています。
ホメオパシーは効果が無いと判定されている 〜メタ解析の解説〜
http://d.hatena.ne.jp/warbler/20101013/1286957755 
これを実際に証明するために、有志の人達がレメディを大量に服用しても体に何の影響も無く平気であることを示す活動(The 10:23 Challenge)が世界各地で行われました。
http://www.1023.org.uk/the-1023-challenge.php

レメディに薬効があれば、体の症状に関係している代謝や細胞の仕組みに関わる生化学的な反応に何らかの作用をしていると考えられます。レメディを大量に服用すれば、この作用が強まって対象となる生化学的な反応の変化に伴ってそれと関連している別の反応経路にも影響が出てきて最終的に副作用がでることが予想されます。
実際、創始者のハーネマンさんは理論は別としてレメディの過剰投与による副作用を気にしていた様です。

・ORGANON OF MEDICINE
http://www.homeoint.org/site/deepak/organon.htm 

§ 275 §

The suitableness of a medicine for any given case of disease does not depend on its accurate homoeopathic selection alone, but likewise on the proper size, or rather smallness, of the dose. If we give too strong a dose of a medicine which may have been even quite homoeopathically chosen for the morbid state before us, it must, notwithstanding the inherent beneficial character of its nature, prove injurious by its mere magnitude, and by the unnecessary, too strong impression which, by virtue of its homoeopathic similarity of action, it makes upon the vital force which it attacks and, through the vital force, upon those parts of the organism which are the most sensitive, and are already most affected by the natural disease.
与えられた病気の症例に対する薬の適合性は その正確なホメオパシーの選択だけには依存せず、同様に投与量の適切なサイズや、むしろ小ささにも依存する。もし私達の目前で病的状態に対して完全にホメオパシー的な選択をされた薬の投与量が強すぎれば、そのホメオパシー的な類似の作用の理由により、ただその程度や不要に強すぎる影響によってその本来の有益な特徴の本質にも関わらず有害と判明するに違いない。それはそれが攻撃するバイタルフォース(生命力)に作用して、バイタルフォースを通じて既に自然の病気による影響を最も受けている組織の最も感受性の高い部分に作用する。

§ 276 §

For this reason, a medicine, even though it may be homoeopathically suited to the case of disease, does harm in every dose that is too large, the more harm the larger the dose, and by the magnitude of the dose and in strong doses' it does more harm the greater its homoeopathicity and the higher the potency selected, and it does much more injury than any equally large dose of a medicine that is unhomoeopathic, and in no respect adapted to the morbid state (allopathic).
この理由から、ホメオパシー的に病気の症状に適合しているだろう薬でさえも、毎回の投与量が大きすぎると害をなす。その投与量が多ければ多いほど害が一層強まっていき、投与の程度と強い投与によりさらに害となる。いかなる点でも病的状態に適合しない(アロパシー的な) 同程度の投与量のホメオパシー的ではない薬よりも、ホメオパシー性がより大きくてより高いポテンシーが選択されるほどより強い被害をもたらす

Too large doses of an accurately chosen homoeopathic medicine, and especially when frequently repeated, bring about much trouble as a rule. They put the patient not seldom in danger of life or make this disease almost incurable. They do indeed extinguish the natural disease so far as the sensation of the life principle is concerned and the patient no longer suffers from the original disease from the moment the too strong dose of the homoeopathic medicine acted upon him but he is in consequence more ill with the similar but more violent medicinal disease which is most difficult to destroy.
正しく選ばれたホメオパシー薬の大量過ぎる投与と特に頻繁に投与が繰り返される場合は、原則として多くのトラブルを引き起こす。それらを頻繁に患者に与えると生命の危険があり、またはこの病気をほぼ治療不能にしてしまう。生命原理の感覚に気遣う限りはそれらは確かに自然の病気を消滅させ患者が元の病気をもはや患わなくなるのだが、その人に作用するホメオパシー薬の強すぎる投与をした瞬間から、その人はひき続いて同様にもっと病み、最も打ち砕くのが難しいより激しい薬による病気がおきる。

とっても怖いですね。
でも、実際にはレメディを大量に服用してみた世界各国の皆さんは全く平気そうです。
http://www.1023.org.uk/the-1023-challenge-gallery.php

参考までに、次に紹介するカナダにおけるホメオパシーの現状を批判したTV番組では、ホメオパシーの「睡眠薬」などを大量に飲んでみせた人達もいるのですが、その人達はちっとも具合が悪くならなかった様です。
ホメオパシー睡眠薬「目が覚めている」状態(症状)の人にとっては症状に適合している薬ですし、それを大量に飲んだら何か悪影響が出ないと変ですねぇ。

・"ホメオパシー 治療か詐欺か (Cure or Con) by CBC/カナダ" [翻訳:kumicitさん] 
 

ホメオパシー・レメディを大量に飲んでも誰も具合が悪くなっていないし、病院へかつぎ込まれた人達もいない様子です。あらら、見事に全然効いていませんね〜
ホメオパシー・レメディは、どうやらその効果に期待をする人達にしか効かない様です。やはり暗示による効果(プラセボ効果)しか無いのでしょうね。
この活動に対して、ホメオパシーを擁護する側から反論が出されました。

・You can't overdose on homeopathic remedies; Why won't homeopathy skeptics drink their own medicine?
ホメオパシー・レメディでは過剰服用はできない;どうしてホメオパシー懐疑者達は自分達の薬を飲みたがらないのか?
Friday, February 11, 2011
by Mike Adams, the Health Ranger
Editor of NaturalNews.com
http://www.naturalnews.com/031297_homeopathy_overdose.html

Mike Adams氏の主張を抜粋すると、

It's really quite hilarious to see this unfold: Homeopathy skeptics and vicious Big Pharma attack dogs are running around the globe in ludicrous demonstrations where they consume huge doses of homeopathic remedies in public and then claim that because they don't die of an "overdose," these medicines therefore don't work.
こんなのが展開するのを見ると全く滑稽である:ホメオパシーを懐疑する人達と卑劣な巨大製薬会社のかみつき犬達は馬鹿げたデモンストレーションで世界中を走り回っていて、そこで彼らは公衆の面前でホメオパシー・レメディの大量服用をしても「過剰服用」で死なないのでこれらの薬は働かないのだと主張する。

Teaching the so-called "skeptics" about how homeopathic medicine really works is a bit like trying to convince flat Earthers that the planet is really spherical. These skeptics, you see, approach homeopathy as if it were a drug (because that's all they really know). And in their world, all drugs are dangerous if you overdose on them, which makes sense from their point of view because they're educated solely in dangerous, synthetically-derived chemicals that are incompatible with the human body.
いわゆる「懐疑者達」のホメオパシー薬が実際にどの様に働くかについての教えは、本当は球であるのに地球が平らであると信じさせようとする事にちょっと似ている。これらの懐疑者達は、ご存知の通り、 (彼らが実際に知っているのはそれが全てであるので) あたかもホメオパシーがドラッグ<※1>であるかの様に取り扱う。そして彼らの世界では、全てのドラッグは過剰摂取すれば危険であるが、彼らは人体に不適合な合成的に誘導された化学物質の危険性についてばかり教育されているので、彼らの視点からはこの考えは筋が通っているのだ。<※1 drug (ドラッグ)=体に何らかの作用のある物質全般を指す。 薬も含むが、麻薬などの毒物も含まれる。それに対してmedicine (薬)は治療薬の意味で使われる言葉。>

So it may be understandable at some level that since this is all the medical fundamentalists (skeptics) know, they have probably not attained the level of sophistication required to understand the far more advanced mechanisms of homeopathy. It's a bit like trying to teach a five-year-old child how to play Mozart. And while that may have worked if your child was Mozart, it probably doesn't work for anyone else.
だから、これが医療原理主義者達(懐疑者達)の知っていることの全てなので、ある程度は理解出来るかもしれないが、彼らはおそらくずっとさらに進んだホメオパシーの仕組みを理解するのに必要な高度な知識のレベルに達していないのだ。

Homeopathy, you see, isn't a drug. It's not a chemical. So you can drink all you want and you won't overdose on it. That's not a defect in homeopathy -- it's a remarkable advantage!
ホメオパシーは、分かっていると思うけど、ドラッグじゃない。それは化学物質じゃない。だから、君は望むだけ飲むことができるし、それによる過剰摂取は起きない。それはホメオパシーの欠陥ではなく−それは並外れた長所なのだ。

But homeopathy isn't a chemical. It's a resonance. A vibration, or a harmony. It's the restructuring of water to resonate with the particular energy of a plant or substance. We can get into the physics of it in a subsequent article, but for now it's easy to recognize that even from a conventional physics point of view, liquid water has tremendous energy, and it's constantly in motion, not just at the molecular level but also at the level of its subatomic particles and so-called "orbiting electrons" which aren't even orbiting in the first place. Electrons are vibrations and not physical objects.
しかし、ホメオパシーは化学物質じゃない。それは共鳴なんだ。波動(vibration)であり、あるいは調和なのだ。 それは 植物や物質の特殊なエネルギーと共鳴した水の再構築だ。 僕たちは、もっと後に出される(はずの)ある論文でその物理学の世界に入り込むことができるのだけど、差し当たりこれまでの物理学の視点からでも液体の水が途方もないエネルギーを持つと認識するのは簡単だね。水は単に分子レベルだけではなくその亜原子粒子レベルでも、そもそも軌道を回るのでさえない「軌道を回る電子」と呼ばれる物でも常に運動している。電子は波動であり物理的な対象ではないのだ。

ホメオパシーがどう作用するかは、未来に出されるはずの論文で証明されるということですが、どこまで信じられるでしょう?かなり怪しいですね。
水の再構築については、こちらを参考に。
・nature.com Stripped Science : How water memory works (cartoon)
http://blogs.nature.com/strippedscience/2011/01/19/how-water-memory-works-cartoon
「水の記憶の仕組み」

ちょっとミッキーマウスみたいなキャラクター達が水分子を表しています。
水分子の運動はとても速くて、「水の記憶」はたった0.000000009秒しか保てません。すぐに崩れちゃいます。どうも、ホメオパシーの理論にはやっぱり無理があると思います。

Mike Adams氏は、これに続いて現代物理学での電子の性質の解釈が”魔法のテレポート粒子”みたいだと揶揄していきますが、電子を"永久機関"扱いしたり、軌道を”電子が飛び移る”というのを古典的に解釈しようとしていたりと、根本的に「古典力学に魂を引かれたまま」量子力学を語っている人のよくある間違い(講評:前野昌弘先生・物理学者)で、かなりトンチンカンな攻撃をくりひろげています。続いて、

But getting back to water and vibrations, which isn't magic but rather vibrational physics, you can't overdose on a harmony. If you have one violin playing a note in your room, and you add ten more violins -- or a hundred more -- it's all still the same harmony (with all its complex higher frequencies, too). There's no toxicity to it.
でも、水と波動に話を戻すと、それは魔法ではなく、むしろ波動物理学であり、ホメオパシーで過剰摂取することはできない。もし君が1つのバイオリンを持っていて君の部屋である音を鳴らして、もう10台の―または100台以上の―バイオリンを加えたら、それは(複雑で高度な周波数の全てについても)全て同じ調和なのだ。それには毒性は無いよ。

え〜と、音の共鳴現象も強すぎるとグラスを割ったりしますよ。危険ですね。
・ワイングラス共鳴

ただし、体に共鳴する症状がなければ何も起こらないという言い訳も可能ですね。
でも、ホメオパシーの「睡眠薬」は「目が覚めている」状態(症状)の人には効くのではないかしら? それに創始者のハーネマンさんとは全く違うことを言っていますね。

Mike Adams氏は、ホメオパシー・レメディの効果を懐疑する人達にこんな挑戦を突きつけました。

I am hereby challenging the skeptics to a public drink-a-thon, each drinking the medicines we advocate. I'll meet them in a public place, and we'll each drink the medicines we believe in the most.
懐疑者達が公衆の面前で一気飲みをするのに対して、私はこの文書をもって懐疑者達に挑戦する。互いに我々が擁護する薬を飲むのだ。僕は彼らと公共の場で会い、それぞれが最も良いと信じる薬を飲もう。

That outcome, my friends, would be sad, but newsworthy. More importantly, it would prove an important point: Medicine should be safe for people to consume, not so deadly that you drop dead after consuming it, which is what often happens with pharmaceuticals.
その結果は、おお友よ、悲しいだろうが報道の価値はあるさ。もっと大事なことは、それは大事なポイントを証明するのだ。 薬はそれを服用する人達にとって安全であるべきで、それを服用した後で命を落とすような致命的なものではいけない。こういった事は調合薬では頻繁に起こるのだよ。

最初に説明した様に、薬効があるものは副作用もどうしてもあります。大事なのは、副作用の弊害が強くならない様に加減しながら薬を上手に使うことです。適切な使い方を無視すれば危険ですが、上手く使えばとても効果的です。例えば、水だって大量に飲めば体に毒だし、砂糖玉レメディだって毎日大量に飲んだら、糖尿病になる可能性だってあります。
極端な事を言っていけばきりがありませんよね。

But, alas, my challenge will certainly never be accepted. None of the magicians, skeptics of medical fundamentalists will be publicly chugging chemotherapy any time soon, nor any other large doses of liquid pharmaceuticals. Why? Because they know how toxic those chemicals are.
けれど、ああ、僕の挑戦はきっと受け入れられないだろうな。いつまでたっても手品師で医療原理主義の懐疑者達の誰一人として公衆の面前で化学療法薬やその他の液状の調合薬の一気飲みをしないだろう。 どうしてかって? なぜなら、彼らはそれらの化学薬品がどんなに有毒か知っているからさ。

あの〜?そもそものThe 10:23 Challenge活動の主な目的は、薬の安全性検査ではなくて、ホメオパシー・レメディに「薬効が全くない」から大量服用しても平気であるというデモンストレーションです。わざと論をすり替えていますよね。懐疑者側が「ホメオパシー・レメディ」を大量服用しているのだから、対抗するMike Adams氏は「通常の薬」を大量服用してみせなきゃ。あれっ?

挑戦といえば、こちらはもっとマトモです。
ジェームズ・ランディ教育財団は、ホメオパシー製品で利益を上げている製造業者とホメオパスに挑戦するそうです。二重盲検法を用いた対照実験でホメオパシーの効果をきちんと示し、科学研究が間違っていることを証明できたなら100万ドルを進呈すると宣言しています。

・ジェームズ・ランディの100万ドルチャレンジ!ホメオパシー [翻訳:kumicitさん]

ランディ翁、ご健在です。

最後に、Mike Adams氏の記事にはこんな文が付け足されていました。

Oh, by the way, speaking of homeopathy, did you know that Dana Ullman recently joined NaturalNews as a featured contributing writer?
ああ、ところで、ホメオパシーといえば、Dana Ullmanが最近NaturalNewsに主要な寄稿者として加わったことは知ってたかい?

また出ました〜!Dana Ullman氏!「牛にもホメオパシーが効くってホント?」のエントリーでも登場した人物です。お友達の輪が広がっていってますねぇ。
ホント、困ったものです。

[追記]

ホメオパシー睡眠薬「目が覚めている=眠っていない」状態(症状)の人にとっては症状に適合しているとしましたが、ホメオパシー側からは「眠れなくて困っている人」に対してではないと完全に適合していないという反論の可能性がありますね。「眠れないに程は困ってないけれど眠っていない状態」は、不完全な一致とも解釈できそうです。

それに対しては、「ORGANON OF MEDICINE」に記載があります。

§ 167 §

Thus if there occur, during the use of this imperfectly homoeopathic remedy first employed, accessory symptoms of some moment, then, in the case of acute diseases, we do not allow this first dose to exhaust its action, nor leave the patient to the full duration of the action of the remedy, but we investigate afresh the morbid state in its now altered condition, and add the remainder of the original symptoms to those newly developed in tracing a new picture of the disease.
もしも不完全なホメオパシー・レメディを最初に採用して用いていると、しばらくして随伴症状がおきる。よって急性疾患の場合では、我々はその作用を不毛にするこの様な最初の投与も患者にそのレメディの作用の持続をさせ続けることも許さない。しかし、我々は改めてその新しく変化した状態での病的状態を調べ、新たな状況を解明する中で、それらの新しく生じた病気に元の症状の残余を追加する。

あらら、こっちの解釈にしてみても別な症状が出て困ったことになりますねぇ。やっぱり「ORGANON OF MEDICINE」に従うと副作用が出てしまいます。