愛知県が実施したEM菌による河川の環境改善効果の検証

茨城県が各都道府県に対して実施したアンケートで愛知県は、

「平成16~ 17年度に、EM菌による河川の水質浄化効果を把握するため、EM菌による浄化実験を行っていた河川(BOD:10~50mg/L程度)で、EM菌の投入か所の上下流において水質・底質の分析調査を実施した。

この調査の結果、水質、底質とも、EM菌の浄化効果を数量的に把握すること(EM菌の投入か所の上下流における差異を確認すること)はできず、EM菌による水質、底質の浄化効果については、不明であった。」

と回答していました。

そこで、愛知県にこの報告書に関する公文書開示請求をしたところ、開示をして頂けました。

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平成16・17年度に実施したEM菌による河川の水質浄化効果の検証報告書と、この報告を受けて愛知県が見解をまとめた公文書を入手しましたので紹介します。

 

EM菌による河川の水質浄化効果の検証報告書:調査期間 平成16年4月~平成18年2

報告書全文(PDF)

id:warbler の 平成16、17年度調査の概要.pdf

注:「地図」上に色付けした印等は、片瀬が記入しました。

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調査地点

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①比較地点:①と②の間に、途中で合流している川(農業用水路)が何本かある。

     (現地を視察して確認してきました)

②EM投入上流地点:対照となる地点

③EM投入下流地点:②と比較して改善していれば効果あり

 

結果

・BODとCOD全般に②よりも③の方が若干高い

EM投入効果は確認できない

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・T-NとT-P:全般に②と③の差はほとんどない

EM投入効果は確認できない

 ※特に①のT-Pの数値が大きいが、農地から肥料成分のリンを多く含む水が流れてきたと推定。①から②の間に合流してきた川の水で希釈されて②と③では数値が低くなったと考えられる。

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・透視度:全般に②の方がやや高め(③の方が濁っている傾向)

EM投入効果は確認できない

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・底質:全般にほとんど差が無い(強熱減量は主に有機物質量を示す)

EM投入効果は確認できない

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※上記調査結果に基づいて、愛知県は以下の方針をまとめていました。

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愛知県有用微生物群(EM菌)を活用した事業のように、(水質浄化の目的において)効果や具体性に疑義のある内容の事業については対象外」として、EM菌を使用した水質改善活動には県からの補助金を出さない方針をとっています。