全国47都道府県:EM菌による水質浄化活動への補助金に関する調査結果

平成29年5月に茨城県から全国46都道府県にアンケート調査が実施されていました。

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茨城県に公文書開示請求した結果、全国の都道府県からの回答が記入された調査票を開示して頂けました。

 

        調査結果まとめ

 

(補)アンケートを実施した茨城県については、これまでに把握できている情報を元に分類しました。

 

水質浄化活動への補助金制度が存在しない自治体:39

 

北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 

水質浄化活動への補助金制度はあるが、有用微生物群(EM菌)は対象としていない自治体:4

 

茨城県

補助金制度「世界湖沼会議市民活動気運醸成事業補助金」

【理由】その効果が科学的に検証されている手法を用いるものに限ることとしているため

 

愛知県

補助金制度「あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業」

【理由】この交付金は、森と緑の保全活動や森と緑を支えるという機運を醸成する環境学習を対象としており、対象事業の選定にあたっては、事業効果が期待できること、事業内容に具体性があること等を審査・評価している。有用微生物群を活用した事業のように、(水質浄化の目的において)効果や具体性に疑義のある内容の事業については対象外としている。

  

大阪府

補助金制度「大阪府環境保全活動補助金」

【理由】補助金の交付決定にあたっては、大阪府環境審議会環境・みどり活動促進部会の審査を経るものとしている。平成19年度から交付しているが、これまでに有用微生物群の活用を目的とした事業に対する補助は行っていない。

(参考) 

 

島根県

補助金制度「しまね環境保全活動助成金(注:公益財団法人しまね自然と環境財団の事業)」

【理由】当該微生物群による水質浄化の効果について、科学的には十分確認されていないと考えているため

 

水質浄化活動への補助金制度に、有用微生物群(EM菌)を対象としている自治体:4

 

山梨県

補助金制度「山梨県環境保全活動支援事業費補助金」、「山梨県地域活性化共同事業費補助金」

【状況】要綱等に、有用微生物群を対象としない旨は記載されていないため

 

長野県

補助金制度「地域発 元気づくり支援金」

【状況】有用微生物群による諏訪湖流入河川等の水質浄化活動はH27~ H29に事業選定している。

 

鳥取県

補助金制度「みんなで守る湖沼の自然環境保全推進事業補助金」

【状況】EM菌を特別に除外していない

 

愛媛県

補助金制度「「三浦保」愛基金 環境保全・自然保護分野公募事業」

【状況】対象としている

 

有用微生物群(EM菌)の水質浄化効果等を検証していると答えた自治体:8

 

福島県

有用微生物群の水質浄化に対する効果は検証していないが、微生物資材の培養液の有機物の濃度を調べたことがある。福島県環境センター(当時の名称)で微生物資材の培養液のBOD等濃度が浄化槽の放流水よりも高いとの結果を得て、平成19年度生活排水対策推進指導員等講習会の中で結果を示した。

このため、「公共用水域に高濃度の有機物を含むもの(微生物資材の培養液等を含む)の投入に慎重な対応を求める」としている。  


福井県

平成12~ 14年に三方湖の湖水を用いた人口池を2つつくり、一方にEMを投入して、水質浄化効果等を調査した。その結果、CODに改善効果は認められなかったが、浮遊物質量や透視度に改善が認められた。微生物による効果というより物理的な凝集効果によるものと考えられる。 


愛知県

平成16~ 17年度に、EM菌による河川の水質浄化効果を把握するため、EM菌による浄化実験を行っていた河川(BOD:10~50mg/L程度)で、EM菌の投入か所の上下流において水質・底質の分析調査を実施した。

この調査の結果、水質、底質とも、EM菌の浄化効果を数量的に把握すること(EM菌の投入か所の上下流における差異を確認すること)はできず、EM菌による水質、底質の浄化効果については、不明であった。

↑この調査報告書についても、公文書開示請求をしてみます。

【追記】入手できましたので、UPしました。

  

三重県

(三重県ホームページ)

有用微生物を活用した環境改善実験結果

http://www.pref.mie.lg.jp/eco/earth/12223014732.htm

水質については、実験区、対照区とも変化は確認できなかった。微生物を活用した改善対策は、微生物が最大限にその特性を発揮するための至適条件があり、それを活用するフィールド条件に左右される。そのフィールドに合うか否かの予備調査を行い、活用していくことが望ましい。

  

岡山県

県の試験研究機関である岡山県環境保健センターにおいて、EM菌の水質浄化効果について研究した事例あり。詳細は、別添の岡山県環境保健センター年報 19号(平成6年度)、第20号(平成7年度)を参照。

 

広島県

EM普及協会から入手したEM菌製剤をもとに,同協会の示す方法によりEM活性液等を調整して室内での実証試験を実施した。(平成15年1月~ 5月実施) .

水質改善効果判定試験、藻類増殖抑制効果判定試験、底質改善効果判定試験のいずれにおいても効果は認められなかった。  

 

愛媛県

えひめAI‐1とは、酵母・乳酸菌。納豆菌を主体に糖蜜等を用いて独自の製法で発酵培養させた複合微生物。 水質の浄化に関する実証試験を行った結果、活性汚泥法による水処理を行っている浄化槽に対し、原水槽や曝気槽へ0.1~ 1.0%/日排水量を目安としたえひめAI‐1を添加することにより、余剰汚泥の削減効果や最終的な放流水のCOD低下が確認できた。

  ↑

※EM菌ではなく「えひめAI-1」を使った検証実験であり、さらに「浄化槽」での実験なので、河川等での水質浄化とは直接関係のないものでした。

 

長崎県

平成16~ 18年度に実施。県内の1河川を対象に、流域168世帯から有用微生物群を2週間毎に散布し、対象河川の水質が改善するか検証した。また、水槽内で有用微生物群によるモデル排水の水質浄化能力を調査した。なお、調査結果については外部への公表をしていないため、提供できない

  ↑

公文書開示請求をしたところ、報告書が開示されました。

EM菌ではなく、「えひめAI-1を使った検証試験でした。

『大村湾環境保全・活性化事業(有用微生物「えひめAl-1」を用いた環境改善効果検証事業)に係る水質等調査結果(平成16~ 18年度調査結果) 』

id:warbler の 大村湾環境保全・活性化事業(有用微生物年えひめAI-1を用いた環境改善効果検証事業)に係る水質等調査結果(平成16〜 18年度調査結果) 圧縮後.pdf

 

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※長崎県の検証実験では「えひめAI-1の投入によって在来微生物に及ぼす影響の検討をしていました。

その結果、塩分濃度が高く「えひめAI-1」に含まれる菌が増殖し難い汽水域を除いて、在来の微生物に影響を及ぼして生物多様性が失われることが示されています。

EM菌投入によっても同様の問題が生じるのではないかと考えられます。

これについては、次の記事で詳しく紹介します。