DND出口氏の記事にある青森市立西中校長インタビューの事実関係の確認

 EM菌を用いた環境授業について問題提起をした朝日新聞記事に対する、DNDメディア局の出口俊一氏による批判記事が出されています。この批判記事では朝日新聞の長野剛記者の取材が事実と異なるとされています。しかしながら、出口氏の批判記事の中で取り上げられていた青森市立西中学校の校長先生に取材をすると、事実と異なることを書いていたのは出口氏の方であることが分かりました。

 実は、昨年9月に私は大内校長とお会いして、色々とお話を伺っていました。その時に、出口氏が事実と異なる事を書いていた事が判明しましたが、まだ西中学校では今後の総合学習の方針決定が最終的に出される前でしたので、すぐに反論記事を書いてしまうとそれによって学校外部からの干渉が増えてしまい、西中学校の自主的な決定にノイズが入ってしまう恐れがあることを考慮して、これまで沈黙していました。
 朝日新聞の長野記者もこの事はご存知でしたが、ご自分が悪く言われる事よりも、西中学校の自主的な決定に邪魔が入らない様にと、学校関係者の平穏を優先してこの件に関する反論は控えておられました。(取材先をできるだけ守ろうとする新聞記者の矜恃によるものです)

 新学期が始まり、総合学習の新カリキュラムもスタートして落ち着いてきた頃合いと思い、改めて大内校長に取材して事実関係の確認をし、大内校長の了承を得たのでこの件について報告します。大内校長にとっても、間違った話が出口氏の記事で広まることは迷惑に他なりません。大内校長は、実際に会ってお話をして良く分かりましたが、教育者としてとても思慮の深い方で、EM菌の効果を宣伝通りに鵜呑みにしているかの様な出口氏の記事から得られる印象とは全く違っていました。昨年9月の時点で、既に大内校長はEM菌による環境教育の廃止を考えておられました。出口氏の記事での大内校長のインタビュー内容と違っている事をお知らせすると、どうしてその様な事が書かれたのかと驚かれていました。出口氏から、その記事が出されていることはご本人には知らされていませんでした。実際には、西中学校では教職員と保護者で中止に向けた話し合いが進められていました。EM菌を使った環境教育の中止は昨年12月に最終決定されています。

 西中学校では、第11代の村田校長時代にEM菌を使った授業が導入されました。大内校長が2011年に赴任してきてから、漫然として継続されている行事の見直しが始められており、EM菌を使った授業も、ゆとり教育の撤廃に伴う見直し対象として、元々廃止の心づもりをされていたそうです。指導を担当していた教員とEM菌の培養に米のとぎ汁を提供して長年協力してくれてきた保護者の了解が必要なので、慎重に進めようと準備をされていたそうです。

 朝日新聞の記事が昨年8月に出されてから、西中学校がEM菌を使った授業を続けるようにと、複数のEM関係者から働きかけがあった事も教えて頂きました。しかし、その働きかけ方が新興宗教などを連想させる様な雰囲気があり、逆に学校側は警戒を強めた様子です。

 西中学校において、総合学習でのEM菌を使った環境教育を廃止した理由は、主に次の2点です。
(1) 効果の検証が不確かである。
(2) 総合学習の内容をキャリア教育に移行する。

 以下は、DNDメディア局の出口氏の記事に書かれている、大内校長についての事実関係の確認です。

朝日のEM批判記事検証:青森からの現地報告
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm120801.html
(魚拓) http://megalodon.jp/2012-0801-2235-35/dndi.jp/mailmaga/mm/mm120801.html

■教育的対応をみせた西中の大内校長、保護者会がEMの継続を要望
 次に、EMによる河川の浄化を全校挙げて推進している青森市立西中学校を訪ねた。大内義行校長は、朝日の記事のとばっちりで一時、事情説明に追われた。県内の全校調査も入った。その後、市の教育委員会や県の担当部局は冷静な対応を見せたのは幸いした。

以下の記述について大内校長に確認をとりました。
事実と合っている記述は○、事実と異なる記述は×です。

保護者会を開いて記事の経緯を説明し、西中学校におけるEMの関わりや河川の投入、環境教育の活動、表彰などを大内校長自ら作成して配布した。

○:事実です。

一昨年、赴任した時、この中学の特徴は環境教育の実践で、その要がEMであったことを知り、その継続に迷いはなかった。

×:違いますね。

EMなどでメディアの露出を図っていくことも大事かもしれない、と確信していた。

×:本校の子供達の一般的な活躍をマスコミに宣伝してもらうという戦略はとりましたけれども、EMでということはありません。

保護者会を開催し、前に述べたように資料を用意して意見を聞いた。今後、EMによる環境教育を進めるべきか、どうか。

○:これは事実です。

うれしいことにねぇ、保護者の大半が継続を訴えてきた。

×:そんなことはありません。

これまでやって子供たちも環境の大切さを体験的に学んでいるんだから、ぜひ、続けてください、と。

×:その様な保護者からの声は、私は聞いてません。

校長に一任しますという声も届いた。

○:保護者との話し合いの結果、最終的に校長判断に一任されました。

新聞記事なんか、気にすることはない、という励ましも続いた。

×:全然、そんな事は誰も言ってないです。

大内校長は胸がつまった。長くEMを続けよう、という気持ちを強くした。

×: えっ?まじですか?全然違ってますよ。(苦笑)


以上、事実確認した内容の公表は、大内校長の了承を得ております。
今回の取材については、音声録音もして残しています。(これも了承済み)

※青森市立西中学校では、EM菌を使った授業の廃止は既に決定済みであり、この件は学校関係者で話し合い解決済みの問題ですので、今後はこの件に関して個別に取材を受けることはありません。
電話したり、訪問したりして学校業務のお邪魔をしない様にお願いします。