茨城県によるEM菌の水質改善効果の検証結果の紹介

茨城県は、平成7~8年度にかけて、筑波大学TARAセンターおよび国立環境研究所と共同で、EM菌を含む6種類の微生物製剤を用いて、水質改善に使えるかどうかを検証していました。

公文書(行政文書)開示請求によって、この報告書も開示して頂けましたので、こちらもUPします。以下にリンクしたURLからダウンロードできます。

 

・「微生物製剤を用いた水改善手法の開発」最終報告書 平成9年3月

http://d.hatena.ne.jp/warbler/files/「微生物製剤を用いた水改善手法の開発」最終報告書%E3%80%80平成9年3月.pdf

 

この報告書の結論部分です。

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この結論からEM菌に関する部分を抜き出して整理すると、

かなりの量の有機物質を含有している。

・この有機物質は、製剤中の微生物というよりは底泥中の微生物によって急速な好気分解を受け、溶存酸素を消費して系を嫌気状態にした。

・微生物製剤が作用するのは底泥表面に限定され、底泥内部の有機物質の分解は困難であると考えられる。

・底質改善に顕著な効果を示したとは言い難い

・微生物製剤を構成する微生物は一般に、栄養豊かな培地で適温の30°C前後で増殖したものでありこれが培地に比べて遥かに貧栄養、低温である底泥中で増殖するかは不明

 

一方で、元々その場所に生息しており環境に適合している土着微生物(在来菌)の方が、外来の微生物製剤よりも効果的に働くことが示されました。

土着微生物(在来菌)による有機物質の無機化、好気化による有機物質分解の促進、リンの溶出抑制が顕著であった。

土着微生物(在来菌)から有用菌株の分離・同定をして活用することが賢明である。

 

環境保全の観点からも、その構成が不明な外来微生物(EM菌など)を自然界に回収不可能な形で投入するのではなく、在来菌の中から有用な菌を選抜して使用する方が良いと考えられます。