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EMによる水質改善効果徹底検証(3)-竜ヶ池編

EM関係 ニセ科学 環境

第一弾の沖館川編、第二弾の日本橋川編に続く、徹底検証の第三弾です。

池は河川とは異なり、水の流れが少ないので有機物が溜まって富栄養化しやくなっています。富栄養化するとプランクトンが発生して、特に夏場には悪臭も漂います。

 

長野県須坂市にある臥竜公園の中の「竜ヶ池」は、築造当時には百々川から取水しており、この川の水は魚が住めない酸性水でした。昭和56年(1981年)に発生した災害の復旧工事の中で取水口が灰野川に変更され、魚が住める池となりました。しかし、今度は夏期などにプランクトンが増殖してアオコの発生や悪臭といった問題が発生するようになりました。

 

こうした状況を改善できると期待されて、EM菌の投入が平成14年(2002年)から付近の小学校の環境活動として始まりました。残念ながら、11年間EM菌を竜ヶ池に投入し続けましたが、期待が叶わず水質が悪化していきました。抜本的な対策として、池の水の一部入れ替えと、池内の水の流れを良くするために改修工事が行われることになりました。

※EM菌の投入は、2014年から中止されています。

  

信濃毎日新聞社の記事 2016年2月6日掲載

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(中略)

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臥竜公園管理事務所に問い合わせたところ、平成16年(2004年)から平成25年(2013年)までのEM菌の投入量と水質検査の記録が残されていることが分かりました。

臥竜公園管理事務所の担当者を通じて、この貴重なデータを頂く事ができました。

竜ヶ池の水質検査データを解析したので報告します。

 

【竜ヶ池の水の流れと各検査地点について】

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①興国寺出口、②動物園休憩所横の2箇所は、池に入る前の地点です。

池の水は直線距離で約1.5キロ程離れた場所の川の取水口から水路を通して引いており、③竜ヶ池入水口、④観音滝口から入ります。

(2箇所ですが、元の水は同じです)

⑧東屋東入水口とありますが、ほとんど入水していません。

排水は⑨排水口の1箇所です。

池の構造として、臥竜橋(中央の橋)の下が浅くなっており、⑨排水口は橋の南側ということで、水が北側(⑦東屋側)に流れにくい構造となっています。

 

【EM菌の投入状況】

平成14年度から小学校の環境活動でEM菌が投入され始めましたが、投入量の記録がはっきりしているのは平成16年度からです。

 

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【検査方法】

水質検査を担当したのはNPO法人「信州・松川さけの会」(平成23年6月解散)です。

 

COD検査には、共立理化学研究所の「パックテスト」を使用

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【水質検査データの解析結果】

 (注1)「パックテスト」によるCOD検査は、0・2・4・6・8mg/Lの5段階ですが、検査データとして数値に↑または↓が付記されているものについては、目視の加減を反映するためにそれぞれの数値に0.5を+またはマイナスしました。

 (注2)CODの値が0のデータと、値が欠損しているものとを区別するため、グラフで0の計測値が存在する事を示すために0を0.1に差し替えています。

 

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【データの解釈】

・池の内部でCODが年々上昇し、有機物が増加していることを示している。

・入水口付近よりも池内部のCODの方が高いことから、汚染源は流入水ではないと考えられる。

電気伝導率は上昇しておらず、汚れの主原因イオン性の物質ではなく有機物だと考えられる。

・CODは夏場に上昇する季節変動をしており、この特徴から、水の富栄養化によるプランクトンの繁殖が裏付けられる。

 

 

【考察】

竜ヶ池のケースは、水質改善効果が見られなかったというより、水質が悪化していました。水質悪化の原因物質は、データ解析の結果から池に投入された有機物だと考えられます。

 

有機物汚染の原因推定

・EM菌投入による有機物量増加

・来園者が池に生息する鯉や亀に与えたエサ

・池の周囲に植えられている植物(主に桜)の花びらや葉の落下

こうした幾つかの複合要因が考えられます。

 

※このケースは、EM団子やEM活性液を投入しても水質が悪化した事例として、EM投入期間中の継続した検査データがあり貴重なものだと思います。

 

「徹底検証」シリーズの 

・EMによる水質改善効果徹底検証(1)-沖館川編

http://warbler.hatenablog.com/entry/2016/05/04/175520  

・EMによる水質改善効果徹底検証(2)-日本橋川編

http://warbler.hatenablog.com/entry/2016/05/04/211415

 

と併せて、今後のEM菌投入による水質改善活動をする際の参考になると思います。