科学についての概説

もうダマされないための「科学」講義』 (光文社新書)−「付録」に記載のURL集はこちら
http://d.hatena.ne.jp/warbler/20111009/1318150706


[科学とは]
Prentice Hall Biology(Kenneth R. Miller, Joseph S. Levine 著)より<この本は、米国の義務教育で教科書として使用されているものです>

科学とはどういうものでしょうか?
科学の目標は「自然(nature)」を調査して理解し、そこで起こる出来事を説明し、そしてこれらの説明をみんなの役に立つ予測に用いることです。
「科学」とは自然界について学ぶために証拠(エビデンス)を用いる系統立てた方法です。

1.科学の特徴は自然界のみを扱うことです。
2.科学者は情報を慎重に秩序立てたやり方で集め、規則(パターン)や出来事の間にある関連性を探していきます。
3.科学者は証拠(エビデンス)を調べることによって検証することができる説明を提案します。

※「科学」という言葉は、この他にも「科学的な方法によって得られた知識の体系」という意味でも使われる場合があります。

科学は観察することから始まります。観察をして集められた情報を証拠(エビデンス)と言います。観察には、量的な観察(個数や大きさなど、数値で表せるもの)と、質的な観察(色や感触など、簡単に数値で表せないもの)があります。

科学者が観察をする時には、何かをえこひいきしたり、先に結果を思い込んで決めつけたりする等の偏りを避けて、できるだけ客観的になるように努めます。

科学者は普通、観察を行った後で推論をします。この推論はそれまでの知識と経験に基づいて行われます。得られた証拠(エビデンス)から、それを説明することができそうないくつかの仮説を立てます。(科学では、これらの仮説は検証することが可能な場合だけ役に立ちます)仮説は、それまでの知識からの推定や論理的な推論の他に、新たな想像によるものもあります。

それぞれの仮説について、それが本当に言えそうかどうかをさらに注意深く調べていきます。調べて行く過程で、仮説にも修正が加えられていくこともあります。最終的に、上手く説明ができなかった仮説は除外されて、上手く説明ができそうな仮説が残されていきます。(もし棄却されたとしても、検証された仮説は科学的な探求を進めていく上での知見として価値があります)

【科学のポイント】

◇科学者は、「自然(nature)」をより良く理解していくという目標に向かってデータを集めています。科学は進行中の過程にあり、絶対の真理ではありません。科学的な知見は、いつも新しいデータによる見直しが行われており、常に更新されています。
◇科学者に求められるのは、好奇心、正直さ、柔軟な考え方、懐疑的な姿勢、そして科学には限界があると認識していることです。
◇科学では、美醜や道徳的な正しさなどの真偽の判定をすることはできません。
◇社会において、科学者は判断の材料となる科学的な知見を提供しますが、最終的な社会的な判断は科学者のみでされるものではありません。
◇科学によって、「できる事」と「できない事」を理解しておくことは大切です。