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雑学:人の胎盤の世界史

健康 医療 雑学

最近、「自然派」としての強い志向を持つ一部の人達の間で、出産後の胎盤を食べるというのがちょっとした流行らしいです。
ある自宅出産をした芸能人なんかも、生で刺身の様にわさび醤油で食べたことを披露している人もいます。出産した本人とその家族で分け合って食べるのが主流の様です。

この問題については、「助産院は安全?」というブログでも取り上げられています。
・ただボヤク
http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/20100618
・「胞衣について」を読んで
http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/20100703/1278135834 
胎盤を食べること−夏休みの宿題
http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/20100821/1282372732

これは、日本だけではなくて、西欧諸国でも胎盤を食べる人達が最近になって出てきて、それを知った人達を驚かせている様です。
BBC NEWS: Why eat a placenta? (なんで胎盤をたべるの?) 2006年4月18日
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/4918290.stm 

But there has been a longstanding belief among some new mothers that eating the placenta can yield benefits. One supposed reason is that it can reduce the incidence of post-natal depression. It has also been claimed to have nutritional properties needed by women after childbirth.
しかし、一部の新たに母親になった人達の間では、胎盤を食べると利益がもたらされるという昔から抱き続けられてきたた信念がある。想像される理由の1つとしては、胎盤を食べると産後うつの発生率を減らすことができるとするものである。胎盤は、出産後の女性達に必要とされる栄養特性を備えているとも主張されてきた。

産科医のMaggie Blottさんは、これは全く意味がない行為だとしています。

But consultant obstetrician Maggie Blott dismisses the post-natal depression theory. In fact, says Dr Blott, a spokeswoman for the Royal College of Obstetricians and Gynaecologists, there's no medical justification at all.
"Animals eat their placenta to get nutrition - but when people are already well-nourished, there is no benefit, there is no reason to do it," she says.
しかし、コンサルタント産科医のMaggie Blott氏は、産後うつ説を却下している。実際、王立産科婦人科学会の広報担当者であるBlott博士が言うには、医学的な正当的理由は全くないとのことである。
「動物は彼らの胎盤を栄養として摂取しています−しかし、すでに栄養状態の良い人達であれば、全く利点はないし、その行為をする理由はありません」と彼女は言っている。

また、最近になって先進国で胎盤を食べる人達の理由としては、妊婦の為のウェブサイトで次の様に書かれているとして紹介しています。

"Many parents have found this to be a fun activity as well as giving them a very unique, artistic keepsake of their pregnancy," suggests one of these online parenting guides.
「多くの親達は、胎盤を食べることを、とてもユニークで芸術的な妊娠の記念品を与えるのと同様な楽しい活動だと感じている」と、これらのインターネット上の育児ガイドの1つに示されている。

胎盤を食べることが、一部ではオサレなイベントにもなっている様です。
こういった欧米での流行が日本に最近になって輸入されてきた可能性もありますね。
さて、胎盤を食べるなんて私にもかなり違和感があるのですが、人類の歴史としては胎盤は過去にどの様に扱われてきたのでしょうか? 
論文を検索して、次の総説を見つけました。

Notes on placentophagy. 胎盤食の記録
Ober WB.
Bull N Y Acad Med. 1979 Jun;55(6):591-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1807646/pdf/bullnyacadmed00120-0063.pdf

この総説の著者は米国ニュージャージー州の病院に勤務する医学博士で、今から約30年前の1979年に書かれたものです。
今日の一般的な社会では人の胎盤を食べることはカニバリズム(食人)と同様にタブー視されるとしています。その中で、あるカウンターカルチャーのコミューン(小規模な生活共同体)に住んでいる若い女性が、友人達に補助されて出産をした時のエピソードを紹介しています。彼女達は出産後に胎盤を蒸して、後に残っていた人達とそれを分け合って食べたということです。彼女は「素晴らしく活力を与えて、しかも美味しい」としてその効果を語ったそうです。

次にチェコスロバキアの医務官が、1960年頃にベトナム助産師と産科看護師によって胎盤食が行われていたという報告を紹介しています。

I was working as head of the Pathology Department at the Hospital of Czechoslovak-Vietnamese Friendship at Haiphong from September 1958 to December 1960. The group of Czechoslovak specialists...including physicians, nurses, laboratory technicians, engineers, and administrators.
私は、1958年9月から1960年12月までハイフォン(ベトナムにある地名)にあるチェコスロバキアベトナム友好病院で病理学部門のリーダーとして働いていた。チェコスロバキアの専門家達のグループには...医師、看護師、検査技師、エンジニア、そして管理者が含まれていた。

Soon after my arrival, I was told by the Czech chief nurse-midwife from the Ob-Gyn Department that "they eat placentae." After my inquiry I got the following explanation: Several Vietnamese male and female nurses (mid-wives) in the department used to eat placentae, delivered by patients.
私が到着して間もなく、私は産婦人科部門からきたチェコの看護助産師の責任者から、「彼らは胎盤を食べます」と言われた。私が質問すると、その部門にいる数人のベトナムの男性と女性の看護師達(助産師達)から、患者達が娩出した胎盤を食べる習慣があると説明された。

They would not eat any placenta, but only those delivered by a young, apparently healthy and handsome mother. They stripped the membranous parts away and chopped the cotyledons in small pieces and fried them in a pan, usually together with onions. The Czech nurse...showed me the pan with a few pieces of dark brown placental tissue mixed with onions.
彼らは、若くて明らかに健康で容姿の良い母親から娩出された胎盤の他は、食べようとしない。彼らはその膜の部分を剥がし取って刻んで小片にして、平鍋で通常は玉葱と一緒に炒める。そのチェコの看護師は...玉葱と混ぜられた少量の焦げ茶色の胎盤組織の断片の入った平鍋を私に見せた。

いきなり胎盤料理を持ってこられて、びっくりしたでしようね。

The ethnic background of those practising this was not Vietnamese; they belonged to the "minorities" group, tribes of Chinese and Thai origin inhabiting the mountains of North Vietnam. I asked several Vietnamese doctors in the hospital about it, but they were very reluctant to give me any information, since they already knew the aversion of Czech personnel toward the practice. Actually, Vietnamese doctors in the Ob-Gyn Department tried to suppress any information about it and also tried to prevent their personnel from eating placentae... I am not really able to tell whether the observed placentophagy was a widespread cultural habit among these tribes nor whether placentae were also eaten by the mothers who had delivered them.
それらの慣習の民族的な背景はベトナムのものでは無かった。彼らは、北ベトナムの山岳地域に住む中国とタイの部族に起源のある「少数派」グループに属していた。
私は病院にいるベトナムの医師達にそれについて訊ねたが、彼らはチェコの職員のその慣習についての嫌悪を既に知っていたので、私になかなか情報を与えたがらなかった。実際に、産婦人科部門にいるベトナムの医師達はそれについての情報も全て隠そうとしたし、彼らの職員が胎盤を食べることを止めさせようともしていた。私は、観察した胎盤食がこれらの部族に広く行き渡った文化的習慣なのか、胎盤がそれを娩出した母親達によっても食べられるのかどうかについては、よく分からない。

ベトナムの元々の風習では胎盤は食べない様です。
なぜ北ベトナムの山岳地帯に限って胎盤食が行われていたかについては、タンパク質不足の食事へのタンパク質の追加として胎盤が食べられたのではないかと推測しています。
山岳地域では、牛を放牧したりできる平地の多い地域や海産物を獲ることができる沿岸地域と比べて、食事中のタンパク質の摂取が制限されていたのではないかと思われます。

この総説の著者は、人の胎盤がこれまでにどの様に扱われてきたのかを調べ始めますが、大変だった様です。歴史を調べても、年代記の編者達は出産を自然な日常の出来事として受けとめて、それに関する状況を記録しなかったし、さらに出産は、一部は迷信から、一部は男性支配社会に対する防御として、女性達が出産時に男性の介入を排除していた傾向があり、歴史を書いて残したのが主に男性であったので、出産にまつわる行為は神秘のベールに隠されたままになっていたとしています。
ほとんどの古代の医学書は、ちょくちょく産科学の現象について不正確であったり虚偽の説明がされていたりするし、うわべのものしか提供していないとぼやいています。16世紀まで、出産における女性の図像的説明が見られなかったし、16世紀になってからも その多くが衣類によって隠されていたそうです。考古学的な資料も限られた見識しか与えてくれなくて、例えばアステカ族の出産の女神Tlazoteotlの小像は、脚間に顔を出している赤ちゃんの向きが、もの凄く不自然な姿になっていたりします。
信頼できる民俗学の証拠は19世紀半ばまで集められなかったし、さらに出産に関する資料の集成さえもなく、胎盤の運命は通常記録されていなかったそうです。

最初に知られた胎盤の説明は、19世紀末に発見された古代エジプトのナメール王の石碑に見られます。石碑では王に一番近い所に、王の胎盤と臍帯(へその緒)の象徴が配置されています。その象徴は王と共に戦場に運ばれていました。

As did many primitive people, the ancient Egyptians believed that a child was formed in its mother's womb from blood not shed during gestation and that accumulated unused blood formed the afterbirth or placenta, a reserve of vital material. From this belief stemmed the idea that the placenta was the child's "secret helper," a quasi-twin; hence it would be reasonable for a king or his troops to carry a representation of it into battle. King Narmer was a predynastic ruler during the transition period between Neolithic and Chalcolithic settlements and the First Dynasty.
多くの古代人達がそうであった様に、古代エジプト人は母親の子宮の中で子どもは血から形作られると信じており、そして使われずに蓄積された血は妊娠期間中に排出されずに活力物質の貯蔵として後産と胎盤を形作ったと信じていた。この信念から、胎盤は子どもの双子に準じたもの「secret helper(秘められた助力者)」だという考えが始まった。よって、王や彼の軍隊にとってその象徴を戦の中に持ち運ぶことは理に適っている。ナメール王は、新石器時代と金石併用時代の集落の移行期間と最初の王朝の間にあった王朝誕生前の支配者であった。

女性の月経による出血が、妊娠すると無くなることから、その血が子どもの材料として使われると考えたのでしょうか。

次に、古代の胎盤食の慣習の記述が旧約聖書の申命記28章に見られるとして、旧約聖書の内容について話が進みます。イスラエルの民が主の戒律と法律を守らない場合は、当然受けるべき罰として、彼らの町が敵に包囲されて敵が彼らの門の中に入り、その結果、追い詰められた男達が人食を始めると戒めて、「そして汝は、汝自身の体の果実である、汝の息子と汝の娘の肉を食べるだろう」と、女達が胎盤食を実行すると脅しています。
旧約聖書では、胎盤食はとして仕向けられる忌むべき行為の様です。
当時のイスラエルの周辺部族には、胎盤食をする慣習を持つ部族がいて、その行為を恐ろしいと感じていたのかも知れません。

We have no written record of the customs of such coexistent tribes as the Hittites, the Moabites, the Ammonites, the Amalekites, or even of the Philistines, but one may speculate whether this practice was not uncommon in the prehistory of the Levant and Mesopotamia where drought and crop failure were familiar and recurrent events, even as in the Nile basin.
我々は、その様なヒッタイト、モアブ、アンモン、アマレク、ペリシテについてさえも、(当時のイスラエル人と)共存している部族の習慣が書かれた記録を持っていないが、先史時代のレバントとメソポタミアではこの習慣はまれではないのではないかという仮説を立てることはできる。そこはナイル盆地であるのにも関わらず、干ばつと穀物の不作が珍しくなくて頻発する出来事であった。

また、空腹に耐えかねることだけが、胎盤食の動機やきっかけでもないだろうという指摘もしています。

The placenta has both medicinal and magical properties, and its ingestion may be connected with either or both. Considering the many priorities assigned to Chinese civilization, it is not surprising that the Great Pharmacopoiea of 1596 by Li Shih-chen recommended a mixture of human milk and placental tissue for an ailment known as ch'i exhaustion, ... (中略)
The Chinese ch'i was a vital force very much like the Egyptian vital material inherent in the placenta, though not necessarily derived from accumulated blood.
胎盤は、医薬的と魔術的な両方の性質があり、その摂取はそのどちらかかまたは両方と関連しているかもしれない。多くの先行したものが中国文明に帰することを考慮すれば、Li Shih-chenによる1596の大薬局方が気の疲労として知られる病気に対して人の乳と胎盤組織の混合物を推奨していたのは、驚くことではない。(中略)
中国の生命力であり、胎盤に備わっているというエジプトの生命物質と、とてもよく似ているが、必ずしも蓄積した血に由来していない。

第一次世界大戦直前以降の民族誌学者達の調査で、古い文化を持つ人々による胎盤食の例が報告されているとして、色々な例を紹介してあります。

<インドネシアの一部>
胎盤は赤ちゃんの「弟」に違いないと考えられて、入念に埋められて生まれた最初の年の間保存され、赤ちゃんが病気になった場合に、生命力が失われた分を補うのに使う。

かなり一般的には、古い文化の社会では、胎盤は頻繁に父親によって、時には助産師によって埋められるが、その際には儀式に近い祭式をする場合が多く、時には秘密裏に静かに行われるとあります。

埋葬に対してのよくある説明は、もしそれが動物に食べられるとその子の生命または健康が危険にさらされるとしてそれを防ぐ為ともされますが、中にはこんな例も。

<ジャワの一部>
胎盤は花と小さな火で飾られてワニの食べ物として夜に川に浮かべられる。

ジャワの一部の部族では、ワニは聖なる動物とされる様です。生まれてきた子のすこやかな成長を願っての、お供物という感じでしょうか?

いくつかの文化では、胎盤または臍帯(へその緒)の断片は護身用のお守り開運のお守りとして保存されます。日本でも臍帯を保存する所が多いですよね。

<ポーランドの一部>
一部のポーランドの田舎の農民達では、臍帯を乾燥し粉末状にして薬として用いたり、乾燥したへその緒をその子が初めて学校へ行く時に与えると、その子が良い学者になるとして学業お守りとしても用いられる。

変わったものとしては、胎盤の風味が尊ばれている文化もあるそうです。

<ソロモン諸島のKurtachi>
胎盤をビンロウの実と一緒に噛むために、粉末化したライムが入ったライムつぼの中に保存する。

でもさすがに単独ではなくて、ライムの風味付けがされていますね。

多くの文化において、胎盤の他に臍帯なども薬としての価値があるとして尊重していた様です。

<ハイチのミルバレ>
胎盤そのものは埋めたが、臍帯の一部を保存。もし子どもが病気になったら、その臍帯を煮て、その上澄みスープを薬として与えた。

<シエラ タラスコ インディアン>
臍帯も普通は埋められるが、ある助産師は、それは保存されて病気の場合に万能の薬として使われたと主張。


臍帯は目の不具合への薬として使われた。

<カリフォルニアのPomoインディアン>
臍帯の切れ端を子どもの薬として、特にヘビにかまれた傷に有用だとして保存した。

<ジャマイカ>
胎盤の膜(羊膜)はひきつけ(亡霊による仕業とみなされていた)を防ぐのに使われた。この場合は、その組織は注意深く熱い煉瓦の上であぶられ、少量を幼児のお茶の中に入れた。

<アルゼンチンのAraucanianインディアン>
臍帯を乾かして粉に挽いて、病気の時にほんの少量を子どもに与えた。

<ペルーのある部族>
病気になった幼児に、保存しておいた臍帯をしゃぶらせる慣習があった。病気になった大人達も臍帯を噛んでいたが、その病人自身のへその緒であることが重要で、他の人のものは有効ではないと考えられていた。

<タンザニアのチャガ族>
胎盤を容器に入れ、乾かすために2ヶ月間屋根裏に置いた。そしてその胎盤をシコクピエ(植物)と共に挽いて粉末にし、この粉末を使っておかゆを作る。胎盤は子どもの生命を保存する手段だとしている。

<中央インドのKol族>
子を持たない女性は、胎盤か臍帯のどちらかの一部を食べることによって彼女を不妊の状態にしている影響力を払いのけられると考えていた。

<セレベス島のトラジャ族>
胎盤を大きなイチジクの木に吊して、次の様な別れの言葉を捧げる。
「汝、後産よ、我が汝を愛さなかったと言う無かれ、我々は汝を愛した。汝の弟(妹)の足の裏をくすぐる無かれ、そして彼の(彼女)の腹をつねること無かれ」

以上の胎盤食についての情報をまとめると、以下の理由で行われた様です。

  • 飢餓を背景とした栄養補給として。
  • 魔法医学的な動機から。
  • (旧約聖書では)天罰として課される行為。
  • 嗜好と賞味の目的。(稀な例)

食べる際の状態は、乾燥または乾燥してから粉末にして使用する場合が多く、非加熱の乾燥物をそのまましゃぶったり噛んだりする他に、炒めたり、蒸したり、煮たりして加熱調理してから食べることも多い様です。
日本で最近流行っているという刺身の様にして生の状態そのままで食べるというのは、あまり例が無さそうです。本人以外も食べていたベトナムでの例では、食べるのは健康な若い母親からのものに限っていました。ベトナムでの食べる胎盤の選別は、胎盤に含まれる恐れのある感染性の病原体などを一緒に体に取り入れてしまうリスクをなるべく少なくする為の文化の知恵なのかもしれません。
そういった衛生上の面からも、胎盤の生食は避けた方がいい様に思います。
また、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因となる異常タンパク質などは、普通に加熱調理しただけでは感染力が落ちないので、できれば食べないと飢え死ぬとかの切羽詰まった状況でなければ、特に出産した本人以外は面白半分に食べない方がいいのではないかと思います。

薬としての使用は、既に述べた様に漢方薬で使われる場合もありますし、現在売られている栄養剤化粧品類にも、 プラセンタ (胎盤)という名称で使われているものがあります。その効用については、「ホルモン、栄養、および自然の保護剤が濃縮されて含まれている」としてあったり、若々しさを保つ効果を謳っているものもあります。人の胎盤が原料として用いられているものもあるし、動物などの胎盤を原料とするものもあります。
ただし、この胎盤に本当にどれだけの効果があるのかは疑問です。
胎盤や臍帯を薬として使用した起源は、古代エジプトなどにもみられた「活力物質が貯蔵されている」とする考えや、それに近い中国での胎盤には生命物質が備わっている」とする、古くからの霊的・呪術的なものから来ている可能性が大きいので、実際の薬効となると怪しげでもあります。

胎盤を含む医薬品としては、日本では肝障害の治療剤として「メルスモン」、更年期障害及び乳汁分泌不全の治療剤として「ラエンネック」という2つが認可されているそうですが、胎盤を薬として使用してきた長い歴史の中でたったこれだけしかありません。
ホイホイと気軽に化粧品や健康食品などにプラセンタ(胎盤)を使用したりできるということは、裏を返すと、それだけ特異効果が薄くて毒にもなり難い(効果が少ない代わりに副作用も少ない)ということなのでしょう。
現実には、現代の普通の食事から充分な栄養等を摂れますし、もっと効果的なホルモン剤なども他にあります。
胎盤の効用としては、「プラセンタ」はなんとなく体に良いだろうという「気休め心理効果」が大きいのではないかとも思います。

[追記]
ちなみに人由来のプラセンタは「病原性プリオンなどに対する安全性」が不確定なので、これを用いた治療を受ける場合は同意書が必須とのことです。牛由来のプラセンタはBSEの恐れがあることから、使用禁止になっているそうです。
また、(ヒト由来の)プラセンタ製剤の注射を受けた経験のある人は、それにより病原体に感染している恐れもあるため、献血ができません。
http://wanonaka.jp/first/placenta.html