茨城県 VS EM菌関連企業・団体

茨城県は平成30年10月に「第17回世界湖沼会議」を開催します。これと連動して平成29年4月に「世界湖沼会議市民活動気運醸成事業」補助金の募集を開始しました。

次の画像は、その時の茨城県庁のHPの一部を記録したものです。

「ただし、有用微生物群を活用した事業及び経費については補助対象外」と記載されていました（赤枠はブログ主が入れました）。有用微生物群とは、EM菌の正式名称です。 

茨城県に公文書（行政文書）の開示請求をしたところ、EM菌を補助金対象から除外した事に対してEM推進団体や関連企業から茨城県に苦情が申し入れられていた事が判明しました。

次の資料は、茨城県霞ケ浦環境科学センターが作成した「経緯の概略」と「EM菌に関する状況」がまとめられた文書です。

（文書中の赤線・赤枠とマーカーで印を付けたのはブログ主です）

※「各都道府県の状況」についての詳細は、各都道府県から茨城県への回答文書も開示されて入手できましたので、別記事にまとめて紹介します。

【茨城県とEM推進団体・企業のやりとり】

・平成29年4月28日：所属団体・氏名不詳の人物。誰かからの指示で電話。

※「県として検証した訳ではない」とのメモ書きがありますが、茨城県は筑波大学と国立環境研究所と共同で平成7～8年度にかけてEM菌を含む6種類の微生物製剤による水質改善効果の検証をしており、その効果について否定的な見解をまとめた報告書を平成9年3月に出しています。これについても別記事で紹介します。

（追記）

こちらに報告書をUPしました。

・平成29年5月11日：EM推進団体の会長が茨城県庁に訪問

このEM推進団体の会長さんは、EM菌が「癌の治療」にも効果があると考えているご様子から、EM菌の万能性を信じておられるのではないかと思われます。

・平成29年5月15日：EM関連企業とEM推進団体、ジャーナリスト、

　　　　　　　　　   計5名が茨城県庁を訪問

※EM側は、「長らく新聞記者をやっていた」というジャーナリストを名乗る人物が主に話をした様子です。この人物は、話しぶりとご自身が明かされた経歴から、平成26年に福島県庁にEM研究機構やEM推進団体の代表者と一緒に苦情申し入れをした人物（←元新聞記者）である可能性があります。

EM側は、茨城県が「EM菌による水質浄化効果が科学的に実証されていない」ことを理由に「湖沼の水質浄化事業」への補助金の対象から外した事は、

・憲法の平等原則に違反しているのではないか

・酷い風評被害となっている

・EM菌を使って農業をしている人たちへの差別にもつながる

・茨城県がバッシングを助長している

 などと訴えていますが、かなり論理が飛躍しており強引な主張です。

行政として、ある手段が特定の使用目的において客観的に効果があると示されていなければ、その使用目的で採用しないというのは税金の無駄遣いを避ける合理的な判断ですし、茨城県が悪意を持って意図的に排除したという主張には無理があります。

　さらに、「効果がある」「事例はいっぱいある」と主張している側が、それを裏付ける信頼できる科学的な検証結果を示さなければ検討しようがないですし、補助金対象から外した茨城県の職員に一方的に「効果が無い証拠」を要求するのもどうかと思います。

その後、茨城県側は募集要項の記載を

「ただし、有用微生物群を活用した事業及び経費については補助対象外」

　　　↓

「ただし，湖沼や河川等を直接浄化する事業については，その効果が科学的に検証されている手法を用いるものに限ることとします。」

 と変更する譲歩をしましたが、「有用微生物群（EM菌）を活用した事業」を補助金の対象にはしませんでした。

【記載変更後】

※EM菌を活用した事業が「その効果が科学的に検証されている手法を用いるものに限る」と明示された補助金の「対象としない」とされた事実によって、「EM菌による水質浄化効果は科学的に検証されていない」ことが実質的に明瞭化される結果となり、「EM側は墓穴を掘った」のではないかという気もします。

【茨城県からの最終回答書】

それにしても、茨城県の職員の方々もご苦労様でした。m(_ _)m

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